2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770019
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
工藤 秀明 産業医科大学, 医学部, 講師 (40289575)
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Keywords | 嗅上皮 / 亜鉛欠乏 / 嗅覚障害 / グルタチオンS-トランスフェラーゼ / G-タンパク / ラット / in situハイブリダイゼーション / 免疫細胞化学 |
Research Abstract |
本研究の実施計画に沿って、Wistar系雄性ラットの亜鉛欠乏餌料飼育による嗅覚障害誘発実験モデルを作製、Y字迷路を用いた餌の匂いに対する行動実験によって、嗅覚障害が確認されたラットを実験群、亜鉛添加餌料で飼育したラットを対照群として以下の実験を展開した。それぞれの嗅上皮のパラフィン包埋切片を用いて、既知の嗅覚関連タンパクの遺伝子発現解析としては、嗅覚型Gタンパク(Golf)、嗅神経特異タンパク(OMP)、および嗅覚関連薬物代謝酵素の一つであるグルタチオンS-トランスフェラーゼμ(GST)のcRNAプローブを用いたin situハイブリダイゼーションを行い、タンパク発現解析としては、Golf抗体とGST抗体を用いた免疫細胞化学を施行した。以上の実験結果から、嗅細胞に局在が認められるGolf mRNAおよびタンパク、OMP mRNAの発現細胞数および1細胞あたりの発現量については、実験群と対照群との間に有意差は認められなかったが、支持細胞に局在が認められたGST mRNAおよびタンパクの発現細胞数および発現量が実験群においてのみ有意に減少した。これらのことから、本実験モデルにおける亜鉛欠乏性嗅覚障害は、嗅細胞障害によって誘発されたのではなく、支持細胞におけるGSTの発現の減少によって、匂い物質や嗅上皮更新細胞の遺残物等の代謝系が障害され、二次的に嗅覚障害が助長された可能性が示された。さらに、両群からの嗅上皮から調整したpoly(A)^+RNAを鋳型に用いたDifferential Display法により、実験群のみに出現または消失する複数の遺伝子断片が得られた。現在、この遺伝子断片の塩基配列決定作業が進行中であり、得られた結果をデータベースで検索することにより新規嗅覚障害誘発因子の正体が近日中に明らかになる予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hideaki Kudo 他: "Salmonid olfactory system-specific protein (N24) exhibits glutatione S-transferase class pi-like sturucture"Journal of Nutrition. 130. 38-44 (2000)
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[Publications] Yoshiaki Doi 他: "Expression of a-calcitonin gene-related peptide in the enteric nervous system of rat small intestine"Neuroscience Letters. 285. 33-36 (2000)
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[Publications] 前田正信 他: "アンチセンス法を用いて延髄孤束核のnNOSの遺伝子を制御した時の循環変化"自律神経. 37. 395-399 (2000)
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[Publications] Tomoko Nishino 他: "Immunocytochemistry of glutathione S-transferase in taste bud cells of rat circumvallate and foliate papillae"Chemical Senses. 26. 179-188 (2001)