1999 Fiscal Year Annual Research Report
新生ラット摘出脳幹-脊髄標本の呼吸活動における青斑核の役割
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11770027
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小山田 吉孝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00233627)
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Keywords | 呼吸調節 / 青斑核 / 橋 |
Research Abstract |
本研究は、新生ラット摘出脳幹-脊髄標本において、その構成ニューロンの膜電位が呼吸関連活動を示し、かつ高炭酸ガス性アシドーシスに対して興奮性応答を呈することが明らかにされた橋背側に存在するノルアドレナリン作動性神経核である青斑核(Locus coeruleus:LC)が、同標本において脳神経や脊髄神経前根から記録される呼吸性神経活動の中枢性調節機構の中で果たす役割を検討するものである。具体的には、tetrodotoxin、kainic acidといった神経毒を含んだ微量の溶液をmicroinjectorを用いて青斑核に注入し、呼吸性神経活動の頻度および振幅の変化を観察する。現在は、注入する上記薬物の濃度、および組織学的な確認のために同時に注入する組織染色液toruidine blueの至適濃度を検討している段階であり、具体的な結果は未だ出ていない。しかしながら、その前段階として、新生ラット摘出脳幹-脊髄標本における呼吸活動の形成に対して橋が抑制的に作用していることを、橋の切断前後での呼吸頻度の変化を検討することによってあらためて確認した(日本呼吸器学会雑誌38:160,2000)。同様の検討は1989年から1991年にかけてErrchidiらによって成されているが、彼らの検討ではLCの存在に充分注意が払われていたとは思えない。その意味で、LCがより完全に保たれた状態で、呼吸リズムの形成に対する橋の抑制作用が確認されたことは重要な意味を持つ。今後はLCの薬物的lesioningが呼吸リズムに及ぼす影響のみならず、呼吸リズムのpH/Pco_2の変化に対する反応性に及ぼす影響も検討する予定である。
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