1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの寒冷下で発生する運動由来のふるえ増強機序とその修飾経路
Project/Area Number |
11770029
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田辺 実 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (20217110)
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Keywords | 寒冷ふるえ / 運動 / 熱産生量 / 体温調節 |
Research Abstract |
寒冷ふるえが、運動による温熱負荷で如何に影響されるか、特に、閾値体温および運動中のふるえ熱産生と体温との関係について検討した。 10℃の環境温で筋電図による大胸筋のふるえは、全ての被験者において運動前で見られなかったが、運動開始後に導出された。その程度は運動開始後一過性に増強した後、減弱したが運動終了時までに完全に消失しなかった。運動中のふるえによると考えられる△Vo2は、運動開始直後に一過性に増加した後減弱した。大胸筋のふるえが発現するまでの潜時は、運動時の方が安静時に比し有意に短かった。ふるえが出現する閾値平均体温は運動時のほうが安静時に比べ有意に高かった。運動中のふるえによる△Vo2の程度は、直腸温及び平均体温の絶対値(静的反応)より、むしろ、その時間的な変化率(動的反応)と相関が高く負の回帰直線が得られた。 寒冷暴露時間による影響について、10℃の環境温下で、30分間および70分間の安静を得てから運動を行った実験を比較した。70分間の安静で、運動開始前にすでに大胸筋にふるえがみられ、運動によりそのふるえが、さらに増大した。運動中の△Vo2は、寒冷暴露時間が70分間のほうが30分間に比べ有意に高かった。ふるえが生じているときに運動を行っても酸素摂取量は増加し、その程度は寒冷暴露時間に比例すると考えられる。 以上より、寒冷時における運動は安静時に比べ、ふるえが起き始める潜時を短くし、その閾値平均気温を高温側に移行させた。また、ふるえ熱産生が運動により増強され、その程度は直腸温、平均体温の時間的な変化率に強く依存すると推察される。
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Research Products
(1 results)