1999 Fiscal Year Annual Research Report
高地居住慢性肺高血圧肺血管の血管緊張性に対する内皮由来血管収縮物質の関与
Project/Area Number |
11770033
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
丸山 淳子 三重大学, 医学部, 講師 (50263017)
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Keywords | acetylcholine / PGH_2 / TXA_2 / endothelin / superoxide / ONO3708 / OKY046 / rat |
Research Abstract |
正常肺血管および低圧低酸素暴露による慢性肺高血圧モデルに対して、以下に挙げる薬剤の存在下に、内皮細胞に作用してNOを介して内皮依存性弛緩反応をおこす薬剤であるAchの弛緩反応の変化の有無をそれぞれ検討し、内皮由来血管収縮物質であるET、superoxide、PGH2/TXA2がNO関連弛緩反応をどのように修飾するかを検討した。(1)ONO3708(PGH2/TXA2受容体拮抗薬)(2)OKY046(TXA2合成阻害剤)(3)BQ485(ETA受容体拮抗薬)(4)BQ788(ETB受容体拮抗薬)(5)superoxide dismutase(superoxide anion scavenger) (方法) 低酸素暴露(1/2大気圧;380mmHg)チャンバー内で10日間飼育することにより作成した慢性肺高血圧モデルおよび正常ラットを、ペントバルビタール腹腔内投与により麻酔した後に肺外主肺動脈(外径 1.4-1.6mm)および肺内主肺動脈(外径 0.7-1.1mm)を摘出し、それぞれ長さ2mmのリング状血管片を作成し、クレブス液20mlで満たしたマグヌス管に至適張力で懸垂して等尺性張力変化を測定した。リング片は70mMKClで2回収縮させ、2回目の収縮を最大収縮とした。フェニレフリンでKCl最大収縮の40-70%前収縮を得た後、前述の受容体拮抗剤または合成阻害剤存在下にAchを低濃度から段階的に加え、等尺性張力変化を測定し、最後にパパべリン10^<-4>により最大弛緩を得、各濃度において惹起された弛緩をパパべリンによる最大弛緩に対する割合として用量作用曲線を作成した。正常肺血管、慢性肺高血圧肺血管において、薬剤投与、非投与におけるAch弛緩反応の用量作用曲線の結果を比較した。 (結果) 正常肺血管では、Achに対して用量依存性の弛緩反応を示し、前述の薬剤の存在下と非存在下のAChの弛緩反応は、いずれの薬剤でも有意差がなかった。一方、慢性肺高血圧肺血管では、弛緩反応は全濃度において著明に抑制され、ONO3708非存在下と比較しONO3708存在下で、Achの弛緩反応の抑制が部分的に改善された。他の薬剤では、どれも有意差が認められなかった。以上より、慢性肺高血圧肺血管におけるAchに対する弛緩反応の抑制には、PGH2の産生または放出が関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)