1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770037
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
犬飼 洋子 愛知医科大学, 医学部, 助手 (10308950)
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Keywords | 味覚性発汗 / 温熱性発汗 / 皮膚血流量 / 発汗神経 |
Research Abstract |
刺激物,とくに辛いものを口にしたとき,顔面に発汗が現れることは古くから知られている。この味覚性発汗は,体温調節に関わる温熱性発汗や,指向反射の一種であると考えられる精神性発汗とは異なる局所的反応であり反射性機序によるものであると推定されている。しかし,その神経機構はおろか,味覚性発汗の特性そのものの生理学的分析はまだほとんどされていない。本研究では,味覚性発汗の神経機構を解明することを目的としており,今年度はまず味覚性発汗の特性を解明するため,(1)味覚刺激による発汗の反応様式と,(2)味覚性発汗の温熱性発汗との相互作用について検討した。中性温環境下でレッドペッパー,からしを含む種々の刺激物を口腔内に塗布し,ミノール法にて上半身の発汗を,サーモグラフにて皮膚温を観察した。かなりの個人差が認められたが,最も効果的な刺激物はレッドペッパーであり,舌尖または舌側縁に塗布したとき有効な発汗が現れた。発汗は鼻,前額に多く出現した。皮膚温は顎,鼻尖,口唇上部で低下した。次に,発汗量を連続記録しながら刺激すると,中性温度環境下では発汗は刺激物を燕下するときに増加した。暑熱環境下では異なった反応が見られ,前額では刺激物を舌上に載せたときには発汗が抑制され,燕下し終わってから発汗が回復する傾向が認められた。部位差も認められ,口唇上部ではこの傾向ははっきりしなかった。この味覚性刺激による温熱性発汗抑制の現象は初めての報告であり,味覚性発汗の神経機構解明の重要なポイントとなりうるが,個人差の存在を考慮しながらさらに追究する必要がある。次年度はこれを含めて,発汗神経のブロックによる効果を分析して反射機構の全貌解明に迫りたい。
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