1999 Fiscal Year Annual Research Report
サーモグラフを用いた個々の汗腺活動の観察と発汗神経支配様式の追求
Project/Area Number |
11770038
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
西山 哲成 愛知医科大学, 医学部, 助手 (40257697)
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Keywords | 汗腺 / 汗拍出 / サーモグラフ / 温熱性発汗 / 微小神経電図法 / 発汗神経活動 / 局所発汗量 |
Research Abstract |
本研究の目的は,温熱性発汗部の個々の汗腺における汗拍出活動をサーモグラフを用いて観察し,同時に同部位の汗腺を支配する発汗神経活動を微小電図法により記録し,両者の対応関係を調べることである.温熱性発汗部の汗腺は皮膚面のシワの凹部に開口しており,拍出された汗はそのシワの溝を素早く伝わって広がり蒸発するため,この汗拍出をビデオマイクロスコープ等により観察することは困難である.そこで拡大レンズを装着したサーモグラフを用い、汗滴蒸発時の汗孔部表面温低下(温度色の変化)を観察することにより,この汗拍出タイミングをより精密に記録できる可能性がある。今年度はサーモグラフ拡大レンズ(視野範囲3×4mm)を用いた汗拍出の観察方法を確立するための作業を中心に進め,以下の成果を得ている.サーモグラフ拡大レンズを用いて一定皮膚領域を観察するために,レンズ部に装着する筒型アタッチメントを作成した.観察時に,このアタッチメントの反対側を観察皮膚表面に接触させて固定すると,一定皮膚領域の連続観察が可能になった.また,比較的低強度の温熱負荷(室温29-32℃)時,サーモグラフの温度スケールを4-6℃幅に設定すると,前腕部の各汗腺からの汗拍出に伴う汗孔部表面温低下をより鮮明に観察できることが認められた.約10分間の観察中,個々の汗腺には非常に活発に汗を拍出するもの,またあまり活発でないものとがみられ,精神性発汗部と同様に各汗腺毎の活動性のばらつきが認められた.一方,観察範囲内で一度も拍出しなかった汗腺の同定は困難であった.さらに,中等度以上の発汗時には観察部に適量の乾燥空気を吹きかけて蒸発を早めると各拍出のタイミングをより高精度に観察できた.今後,温熱性発汗時における個々の汗線からの汗拍出と発汗神経活動の間接的指標となる発汗波との定量関係につて実験・分析を実施する.
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