2000 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白間相互作用による容量性Ca^<2+>流入調節機構の分子生物学的検討
Project/Area Number |
11770042
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 栄作 秋田大学, 医学部, 助手 (10282162)
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Keywords | 容量性Ca^<2+>流入 / TRP遺伝子 / イオンチャネル |
Research Abstract |
容量性Ca^<2+>流入機構は、血管内皮などの非興奮性細胞において、細胞の生理機能の調節に重要な役割を果たしているが、その調節機構は不明である。本課題の目的は、容量性Ca^<2+>流入チャネルが、その分子本体の候補であるTRP関連蛋白質によって形成されるか否か、TRP蛋白の細胞内分布およびチャネルとしての機能がPDZドメイン蛋白質との相互作用によってどのように変化するか、を検討することである。昨年度、ラット脳cDNAから、マウス、ウシ及びヒト型のTRP4と高い相同性を有し、C末端にPDZドメイン蛋白と相互作用をする配列を持つrTRP4aをクローニングした。最近の他施設によるTRP4発現細胞における機能解析では、容量性Ca^<2+>流入機構を支持する成績と、それとは相反する結果が報告されており、一致していない。そこで、本年度は、rTRP4aをHEK293細胞に発現させその機能解析を行うことに注力した。具体的には、TRP4a cDNAをGFP蛋白を細胞内で共発現するvectorに組み込み、GFPの蛍光をTRP4a蛋白の発現の指標として、細胞内Ca測定法とパッチクランプ法によってその性質を検討した。カルバコールによる受容体刺激やタプシガルギンによる細胞内Ca貯蔵部位の枯渇によって、TRP4a発現細胞と非発現細胞との間に有意な差は認められなかった。また、TRP4aをGFPのC末に融合させた蛋白は、PDZドメイン蛋白との共発現がなくとも細胞膜上に発現することを確認しており、トラフィッキングの問題ではないことが示唆された。このことから、TRP4a蛋白単独では、容量性Ca^<2+>流入チャネルとしては機能しないと考えられた。また、容量性Ca^<2+>流入が認められるヒト大動脈内皮細胞やHEK293細胞においてRT-PCRを行った結果、内因性にTRP4、TRP3およびTRP6が共存していた。従って、容量性カルシウム流入機構を再構成するためには、PDZ蛋白や他のTRP関連蛋白との相互作用が重要である可能性が考えられた。。
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