1999 Fiscal Year Annual Research Report
画像解析法を用いた高血圧自然発症ラット血管壁内細胞のカルシウム動態解析
Project/Area Number |
11770043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 徳志子 (山澤 徳志子) 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00282616)
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Keywords | カルシウム / 血管平滑筋 / 高血圧自然発症ラット(SHR) |
Research Abstract |
血管は、内皮細胞、平滑筋細胞、および交感神経を含む結合組織により構成され、血圧を維持・調節している。血管平滑筋における細胞内Ca^<2+>濃度の上昇は血圧の制御に重要な役割を果たしている。共焦点顕微鏡を用いて、組織構築を残したラットの動脈における個々の平滑筋細胞のCa^<2+>応答を可視化し、外部から全く刺激をしない状態でも自発的なCa^<2+>オシレーションを観察した。この平滑筋のCa^<2+>オシレーションを詳細に解析するため、シグナル・ノイズ比が共焦点顕微鏡よりすぐれている冷却CCDカメラを用いて動脈壁のCa^<2+>イメージングを行った。このCa^<2+>濃度上昇は、ノルアドレナリンのCa^<2+>オシレーションのピークサイズより小さいことより、Ca^<2+>リプルと名付けた。Ca^<2+>リプルは、サイクロピアゾン酸、アンジオテンシン拮抗薬により消失すること、アンジオテンシンIIを適用するとCa^<2+>リプルの頻度が増加することより、アンジオテンシンIIに起因すると考えられた。さらに、Ca^<2+>リプルはACE阻害薬で消失することより、アンジオテンシンIIは局所レニン・アンジオテンシン系により産生されるものと示唆された。また、静止張力がアンジオテンシン拮抗薬により減少したことより、局所レニン・アンジオテンシン系は血圧調節に重要な役割をはたしていると推定される。SHRの動脈を用いてCa^<2+>リプルを調べると、カルシウム波の伝わるスピードが上昇していることが認められた。現在、さらなる解析を進めている。
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[Publications] Asada Y.,Yamazawa Y.,Hirose K.,Takasaka T.,Iino M.: "Dynamic Ca^<2+> signalling in rat arterial smooth muscle cells under the confrol of local renin-angiotensin system"Journal of Physiology. 521. 497-505 (1999)