2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規神経伝達物質としてのATPの慢性疼痛への関与とその分子機構に関する研究
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11770050
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
上野 伸哉 福岡大学, 医学部, 講師 (00312158)
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Keywords | ATP / プリン受容体 / アストロサイト / 細胞内カルシウム動態 / ATP放出 / 定量PCR / 機械的刺激 / 慢性疼痛 |
Research Abstract |
1)[定量PCR];ATP受容体のmRNAレベルでの発現変化を捉えるため、微量サンプルを用いた(ngレベル)定量PCR系(フライマー設計、PCR条注を含む)を確立した。この系を利用して、各種疼痛モデルの後根神経節(DRG)におけるP2X受容体サブタイプの発現変化を固体別に測定可能とした。 2)[疼痛モデル];坐骨神経結紮、ストレプトゾトシン誘発糖尿病におけるモデル動物において、DRGでのP2受容体の発現変化が、アロディニアなどの病的疼痛出現と平行しておこることを見出した。また、その病的疼痛は受容体拮抗薬によって抑えられた。 3)[アストロサイトからのATP放出機構];中枢神経系における細胞外ATPの供給源として、アストロサイトの役割を培養細胞を用い検討した。生直後ラット大脳皮質から、アストロサイトを精製、培養し、低浸透圧刺激によるATP放出と細胞内Ca動員機構との関連をルシフェリンールシフェラーゼ法、Fura2をそれぞれ用い検討した。低浸透圧刺激によるATP放出は、Clチャンネルブロッカー、Gap junctionブロッカー、また一部のIP3受容作ブロッカーによっても減少した。一方、低浸透圧刺激による細胞内Ca上昇は2相性をしめし、初期の上昇反応はP2X受容体拮抗薬によって抑制された。よって初期の上昇は低浸透圧刺激によって遊離されたATPによってP2受容体が活性化されて起こったものであることが示唆された。初期のCa上昇に続くゆっくりとした上昇が低浸透圧刺激によるものであった。P2X受容体拮抗薬は低浸透圧刺激によるCa上昇を抑制したが、ATP放出自体にはほとんど影響をあたえなかった。以上より、ATP放出機構にP2受容体を介した増強作用は認められなかった。
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[Publications] Tomioka,A et al.: "Propofol potentiates ATP-activated currents of recombinant P2×4 receptor channels expressed in human embryonic kidney 293 cells."Neuroscience Letter. 284・3. 167-170 (2000)
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[Publications] Tsuda,M et al.: "Caused by intraplantar injection of P2× receptor agonist in rats : Involvement of heteromeric P2×2/3 receptor signaling in capsaicin-insensitive primary afferent neurons."Journal of Neuroscience (Online.). 20・15. RC90 (2000)