1999 Fiscal Year Annual Research Report
二重のプロモーターに支配されるセリンアミノ転移酵素遺伝子の転写開始機構
Project/Area Number |
11770059
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
内田 千晴 浜松医科大学, 医学部, 助手 (60223567)
|
Keywords | cAMP / 転写制御 / 肝特異的 / セリンピルビン酸アミノ転移酵素 / TATA-lessプロモーター |
Research Abstract |
ラット肝セリン:ピルビン酸アミノ転移酵素(SPT)遺伝子のもつ2重のプロモーター機能について次のことが明らかとなった。 下流側からの転写開始を支配する領域および転写因子について 下流側転写開始部位を含む+21〜+105(上流側転写開始部位=+1、下流側転写開始部位=+66)にはTATA配列が存在しないが、-1256まで上流を含む場合よりも強いプロモーター活性を備えている。1.この領域に支配されるリポーター遺伝子(CAT)の発現活性は、+36〜+105に短縮すると1/3以下に低下した。そこで+21〜+42の領域をプローブとしてHepG2核抽出液を用いてゲルシフト解析を行うと、この領域と蛋白因子との特異的結合に由来する複数のバンドが検出された。これらは、未標識の+36〜+42断片、+56〜+76断片あるいはC/EBPコンセンサス配列の共存下で、競合により消失した。また抗C.EBP抗体によりスーパーシフトした。2.+56〜+76をプローブとしてゲルシフト解析を行うと、やはりC/EBP配列および抗C/EBP抗体の共存によって消失するバンドも得られたが、主要な一本は未標識+56〜+76以外には影響を受けないバンドであった。+21〜+90の間には、C/EBPの他にHIP1,CTF/NF1のコンセンサス配列と相同性の高い領域がある。しかしゲルシフト解析の結果からはHIP,CTF/NF1の関与は非常に少ないと考えられた。また、イニシエーター因子として知られているYY-1,TEII I,USFの関与も否定された。 3.C/EBPを過剰発現すると、濃度依存的にプロモーター活性が増加した。C/EBPbetaよりもalpha発現の効果のほうがより顕著であった。また1,2の結果から予想されるC/EBP結合領域内に2-3箇所の変異を加えたところ、CATリポーター活性は1/2から1/3に低下した。 以上の結果から、下流側TATA-lessプロモーターの活性には、C/EBPalpaの寄与と、まだ同定できていない未知の蛋白因子の関与が示唆された。 上流側からcAMP応答性転写開始に関与する領域、および転写因子について 上流側からの転写開始を支配する遺伝子領域を決定するために、5'端は最長-5.5kから、3'側は+36まで(下流側転写開始部位を含まない)とする、種々のSPT遺伝子領域によって支配されるルシフェラーゼ遺伝子の、HepG2細胞での発現活性を調べた。-386〜-277、-191〜-104、および-103〜-51にcAMP応答性プロモーター活性に必要な領域があることがわかった。-386までが持つcAMP応答性の活性にはCREB/CBP/RNA helicaseAの関与が示唆された。またC/EBP,AP1によって負に制御される可能性が示された。
|