2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770082
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
横山 ちひろ (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究員 (90264754)
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Keywords | 攻撃性 / ドーパミン / 自傷行為 / ニホンザル / PET |
Research Abstract |
本研究における平成11年度の実験の結果から、胎生期の有機溶媒(スチレン)暴露は脳内セロトニン代謝の増加と関連することが示唆された。本年度は脳内アミンと攻撃性との関連を明らかにするため、自然発症的に自傷行為を行う動物での脳内アミン動態について検索した。 実験動物には、音声刺激により自傷行為を呈するニホンザル(5年齢)および対照として同年齢の自傷行為を呈さないニホンザルを用いた。ドーパミンD1受容体拮抗薬SCH23390(0.1mg/kg)およびD2受容体拮抗sulpiride(10mg/kg)の前投薬の効果を調査するため、投薬30分後より音声刺激(15秒毎)と無刺激を各二分間交互に4回行うものを1セッション(一日3セッションX2)としてビデオ撮影し、複数人による観察から自傷行為の持続時間によるスコア化を行った。ドーパミンD1受容体拮抗薬SCH23390(0.1mg/kg)は自傷行為の発現を完全に抑えたがD2受容体拮抗sulpiride(10mg/kg)は部分的効果がしかなかった。続いてPET(陽電子断層撮影装置)を用いて、^<14>C標識したドーパミンD1受容体リガンドとして^<14>C-SCH23390、D2受容体リガンドとして^<14>C-racloprideの結合動態について調べた。その結果自傷行為を呈する動物は対照動物と比べて、前頭前皮質における^<14>C-SCH23390結合能K_1/K_2が高いことがわかった。この結果はアミン神経系、特にドーパミンD1受容体の過感受性が自傷行為発現に関係している行動薬理学的結果と合致しておりその責任部位が前頭前皮質にあることを示唆している。
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