1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770100
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
長尾 俊孝 帝京大学, 医学部, 助手 (90276709)
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Keywords | 唾液腺 / 多形腺腫 / 多形腺腫内癌 / ras遺伝子 / 発癌 |
Research Abstract |
多形腺腫は、最も多くみられる良性の唾液腺腫瘍であり、ごく最近になってこの腫瘍の発生に深く関与する遺伝子がクローニングされ注目を集めている。多形腺腫の1割弱の症例に悪性化(多形腺腫内癌)を来すことが知られている。その発癌機構を解析することは唾液腺癌における多段階発癌を考える上で非常に重要である。しかし、その症例数が少ないこともあってか、その免疫組織化学的、遺伝子的な解析はほとんど行われていない。そこで今回、まず新たに多形腺腫内癌の組織標本を見直した結果、悪性部分の組織型は、ほとんどが未分化癌あるいは腺癌(唾液導管癌が最も多かった)であることがわかった。つぎに、多形腺腫内癌25症例のHE標本から正常唾液腺組織、良性の多形腺腫部分、癌部分をmicrodissection法により慎重に削り取り、DNAを抽出した。H-,K-,N-ras遺伝子のcodon12,13および61を含む形でprimerを設定し、抽出したDNAについてPCR-direct DNA sequence法(ABI 310 Genetic Analyzerを使用)によりpoint mutationの有無を検索した。その結果、検索した全ての症例の多形腺腫部分、癌部分ともにいずれのras遺伝子の上記3つのcodonにはpoint mutationを見出し得なかった。今後さらに、免疫組織化学的な癌遺伝子・癌抑制遺伝子産物や細胞周期関連蛋白の発現、多型性マーカーを用いたLOHの検出、p53遺伝子の変異様式についても引き続いて検討していきたいと考えている。
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[Publications] Nagao T et al.: "Primary large-cell neuroendocrine carcinoma of the parotid gland"Mod Pathol. (in press).
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[Publications] Nagao T et al.: "Intraductal papillary tumors of the major salivary glands"Arch Pathol Lab Med. 124. 291-295 (2000)