1999 Fiscal Year Annual Research Report
過酸化水素によるp16発現誘導モデルを用いた細胞老化の研究
Project/Area Number |
11770111
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
小幡 雅彦 旭川医科大学, 医学部・病理学第一講座, 助手 (70301992)
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Keywords | 細胞老化 / 線維芽細胞 / 過酸化水素 / マウス / p16^<INK4a> |
Research Abstract |
p16^<INK4a>は細胞老化との関与が示唆されている。しかしp16^<INK4a>は老化のトリガーなのか細胞老化にともなう二次的変化なのか不明である。そこで本研究では過酸化水素によりp16^<INK4a>発現を誘導せしめる系を用いて、その発現に伴い老化形質が現れるか検討した。その結果以下の点が明らかにされ、p16^<INK4a>の発現により老化形質が誘導されることが示唆された。 1.C57BL/6Jマウスより胎仔線維芽細胞を分離し、50-500μMのH_2O_2で24時間処理した後に一度細胞を希釈し継代した。処理細胞より系時的にtotal RNAを抽出しノーザンブロット法によりp16^<INK4a>の発現を検討した。 2.非処理細胞ではp16^<INK4a>の発現は認められないが、処理後より発現が認められ5日後には高発現するに至った。本実験で用いた過酸化水素濃度域では濃度間で明らかな発現量差は認められなかった。 3.処理直後の細胞は老化形態を示さないが、処理5日後の細胞は大きく広がり扁平化し老化細胞様の形態を示した。またβ・ガラクトシダーゼ染色にも陽性所見を示すことから老化細胞としての形質を有していると考えられた。 4.処理細胞は非処理細胞の40%前後の[^3H]チミジン取り込み率を示し、p16^<INK4a>の発現により細胞増殖抑制がおこっているものと考えられた。用いた過酸化水素濃度間では増殖抑制度に明らかな差異を認めなかった。 5.老化細胞は長期培養後に増殖能を再獲得することより、過酸化水素による細胞老化は可逆的現象であることが明らかになった。
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