1999 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌の病原性発揮に関与する宿主細胞因子の解析
Project/Area Number |
11770149
|
Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
阿部 章夫 社団法人 北里研究所, 基礎研究所, 室長補佐 (50184205)
|
Keywords | 病原性大腸菌 / EPEC / タイプIII型分泌機構 / DNAチップ |
Research Abstract |
病原性大腸菌を上皮細胞に感染させると、バクテリア付着下部に細胞骨格形成に関る様々な蛋白が蓄積することがin vitroの実験系で明らかになっている。また、申請者は、細胞骨格因子の一つであるアクチンの再編成が、本菌の病原性に必須であることをin vivoの実験系にて証明している。このことから、宿主のシグナル伝達機構を撹乱させ、宿主細胞骨格の再編成を惹起するメカニズムを解析することが、本菌の病原性理解のために重要であると考えられる。そこで、バクテリア感染に際し宿主で起きているできごとに関して、DNAアレイによる宿主遺伝子の解析を試みることにした。感染に際し、どの宿主遺伝子が特異的に動くのかを解析するために、病原性大腸菌野生株とタイプIII型分泌機構によって分泌されるEspB蛋白の変異株を用いて実験を行うことにした。EspB変異株に関しては、宿主シグナル伝達機構の撹乱に関与していること、この変異株では病原性が著しく低下していることを既に明らかにしている。in vivoでの実験では困難が予想されるので、まず始めにHeLa培養細胞を用いて宿主遺伝子の解析を試みた。両菌株をHeLa培養細胞に感染させた場合、HeLa細胞に付着が成立していることを確認した。また、野生感染で、バクテリア付着下部での宿主細胞骨格蛋白の再編成が認められた。このことから、HeLa細胞を用いても感染に関る宿主側遺伝子の解析が可能であることが示唆された。現在、HeLa細胞からのmRNAを調製するための前段階として、HeLa細胞数と感染させるバクテリア数の比率を変えて、感染系の最適化を模索しているところである。mRNA調整の最適化を検討後、これらのmRNAより標識されたcDNAを作成し、DNAマイクロアレイにハイブリダイズさせ、感染に特異的に発現する、あるいは抑制される宿主側因子の解析を行う予定である。
|