1999 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラcpxR-A遺伝子の宿主細胞侵入能及び病原性への関与の検討
Project/Area Number |
11770150
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
中山 周一 国立感染症研究所, 細菌部, 主任研究官 (80280767)
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Keywords | cpxR / cpxA |
Research Abstract |
SalmonellaとShigellaの腸管上皮細胞への侵入性発現機構には類似点が多い。Shigellaの場合、ipaBCD遺伝子産物が菌の上皮細胞への侵入脳を直接担う。ipaBCD遺伝子はvirF,invEという2つの制御遺伝子によって正に調節されることが明らかになっている。さらに、virFの発現はpHによる制御を受け、それには2成分制御系遺伝子cpxR-cpxAが関与することが報告されている。Salmonellaにおいて侵入能を担うsspBCDはipaBCDに相同性を示す。また、sspBCD遺伝子の発現制御遺伝子hilA,invFについて、invFはShigellaのvirFと相同性を示すことや、hilA発現はvirF発現同様、pHによる制御を受けること等が明らかにされた。このような背景から、両菌種間の侵入性遺伝子を環境条件依存的に活性化する因子も共通である可能性がある。本研究ではSalmonellaにおけるcpxR-cpxA相同遺伝子の探索、及びその遺伝子のhilA、sspBCD遺伝子発現や、総体的病原性への関与を検討することを目的とした。この目的のため、まずSalmonella のcpxR-cpxAの探索を試み、当該遺伝子の欠損株を作製することとした。結果、先ず、SalmonellaがcpxR-cpxA相同遺伝子を持つことを大腸菌cpxR-cpxAをプローブとしたSouthern hybridizationで確認した。次いで、SalmonellaのcpxR-cpxA領域のクローニングを大腸菌cpxR変異株の表現型(クローン化した赤痢菌virFを発現できない)を相補するクローンを選択する方法で行った。クローン化された約6kbのSalI断片には、cpxR-cpxAオペロンと、大腸菌で報告されているcpxP遺伝子が完全に含まれていることが塩基配列決定によってわかった。この断片を材料に、Salmonella染色体との相同組み換えにより、cpxR,cpxAそれぞれの欠損株を作製した。今後、得られた、変異株と野生株について、前述の各表現型について比較を行う予定である。
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