1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770161
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小島 和暢 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20264517)
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Keywords | ロタウイルス / リアレンジメント / PCR |
Research Abstract |
ロタウイルスの遺伝子リアレンジメント解析上の問題点の一つに、重複を起こした遺伝子は、RT-PCR法によって全長を増幅することの困難さがあった。興味深いことに、本来の全長に相当するcDNA産物よりも、親株の正常な遺伝子に相当する長さの産物が優位に増幅されてしまうからである。そこで、この短い産物が生成されるメカニズムを探るために実験を行い、以下の結果が得られた。 タイ国の下痢症患者から分離されたロタウイルスNSP5遺伝子リアレンジ株Mc345を実験材料とし、その遺伝子重複をおこしたNSP5の5'および3'両末端に相補的なプライマーを用いて、先ずRT-PCRを行った。得られた、本来の全長(1182bp)の半分強の大きさ(664bp)のcDNAを、大腸菌クローニングシステムを用いて多数のクローンを単離し、それぞれ塩基配列の決定を行った。塩基配列は、親株の配列と一致することが分かった。つまり、RT-PCRの過程において、何らかのメカニズムが働き、復帰突然変異(reversion)の様な現象が生じたことになる。ところで、このリアレンジ遺伝子には、オリジナルの部位(1st copy)と重複部位(2nd copy)との間には、対応する部位に点変異によって塩基の異なる箇所がある。これら塩基が異なる三箇所を指標として、得られたクローンのテンプレートの由来を調べたところ、1)観測した部位の全てが1st copy由来と考えられるもの 2)全てが2nd copy由来だと思われるもの 3)観測した部位の中間でテンプレートを1st copy、2nd copyの間でスイッチしていると思われるもの、に大別することが出来た。また、中央の観測点は二次構造(ステム・ループ)上に位置していると計算上考えられるため、3)のケースに関しては、RT-PCRの伸長反応の過程でポリメラーゼと伸長中の鎖が、copy-choiceメカニズムによってreversionを生じたと考えられる。
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