1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770162
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
飯塚 成志 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (30222821)
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Keywords | 酵母 / レプリコン / RNAウイルス / 翻訳制御 |
Research Abstract |
酵母L-Aウイルスは、mRNAがキャップ構造・ポリAを持たず、培地中の炭素源がグルコースからグリセロールに変わると複製誘導が起こる。L-Aを有する20以上の株で、ミトコンドリアを除去してもグルコース存在下で培養しても細胞内ウイルスが保持されることから、コピー数調節、および細胞内で増殖するウイルス増幅すべての過程においてミトコンドリアは関与しないと考えられた。これはすでに開発している無細胞試験管内ウイルス増幅系においても確認された。 一方培地中からグルコースを除去すると、除去後15分程度で細胞内ポリソームは急速に消失するが、L-AのmRNAは依然としてポリソーム分画に多量に存在する。ミトコンドリア除去酵母株においてもグルコース除去によりウイルス量の上昇が確認され、グルコースセンサーからの情報伝達系がL-AmRNAの翻訳を特異的に上昇させると考えられた。これはアミノ酸枯渇とは明らかに異なる翻訳制御である。 これらの研究結果から、グルコース濃度がタンパク質合成開始の効率制御を行っていることが示唆された。細胞質mRNAの翻訳とL-AmRNAの翻訳が相反することから、センサーからの情報伝達のターゲットはキャップ構造・ポリA構造依存的タンパク質合成の開始因子と考えられる。この翻訳制御がウイルス量を規定していることが示唆された。開始因子および翻訳制御の生化学解析が現在進行中である。
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