1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規NKレセプターの遺伝子クローニングと会合分子の解析
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11770176
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
反町 典子 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (30217468)
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Keywords | NK細胞 / NKレセプター / CD94 / モノクローナル抗体 / 抑制性レセプター / Ly-49 / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
NK細胞は抗原の感作なしに腫瘍細胞やウイルス感染細胞を殺傷することのできるリンパ球集団で、免疫監視機能に重要な役割を果たしていると考えられている。近年NK細胞の標的認識に関わる分子群の同定が進んでいるが、その詳細はまだ明らかではない。本研究では、NK細胞の標的認識に関与する新規レセプター群の同定を目的として研究を行った。(1)マウスCD94の発現と機能解析:NKおよびNKT細胞に特異的に反応し、NK細胞の細胞傷害活性を修飾する抗体Yuri3を樹立し、性状解析を行った。その結果、Yuri3抗体がマウスCD94を認識することが明らかになった。CD94は、NK、NKT細胞および一部のCD8陽性T細胞に発現し、成熟NK細胞はCD94強陽性細胞とCD94弱陽性細胞の2集団に分類された。MHCクラスI欠損マウスにおいてはCD94強陽性細胞分画が増加することから、CD94がMHCクラスI分子によって発現調節を受ける可能性が示唆された。Yuri3抗体存在下では、syngeneicおよびallogeneic由来の標的細胞いずれに対してもNK細胞の細胞傷害活性を増強した。このことから、複合体を形成するNKG2の種類によって、CD94は活性化シグナルと抑制性シグナルのいずれもが伝達される可能性が示唆され、現在シグナル伝達経路の解析も進めている。(2)NK細胞分化の初期に選択的に発現する新規Ly-49の遺伝子クローニングとその性状解析:胎児肝臓内NK細胞におけるNKレセプターの発現を解析する過程で、胎児肝細胞内NK細胞にLy-49様分子が発現することを見いだした。この分子の性状およびNK細胞における機能を明らかにするために、胎児肝NK細胞に発現するLy-49分子群の遺伝子クローニングを試みた。その結果、Ly-49ファミリーに属する新規メンバーを同定し、Ly-49Qと命名した。Ly-49Qは細胞内領域にITIMモチーフを有することから、抑制性レセプターとして機能することが示唆された。半定量的PCR解析の結果、Ly-49QのmRNAは出生までに次第に減少し、成熟NK細胞においてはその発現量は極めて少なくなる。これは、生後に発現が始まる既知のLy-49分子とは異なるユニークな動態である。このことから、Ly-49Qは胎児肝臓内でのNK細胞の分化あるいは妊娠期間中の母子相互作用に何らかの役割を果たしている可能性が考えられる。現在その機能解析のために、特異的モノクローナル抗体の作成、認識分子の同定を進めている。
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[Publications] Endo, J.: "Deficiency of a STE20/PAK family kinase LOK leads to the acceleration of LFA-1 clustering and cell adhesion of activated lymphocytes"FEBS letter.
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[Publications] Yamaguchi, M.: "The effect of flow on the neutrophil-mediated Ca2+ responses in human vascular endothelial cells stimulated by endotoxin"Surgery Today. 29. 966-969 (1999)
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[Publications] Ishiwatari-Hayasaka, H.: "Requirements for signal delivery through CD44 ; analysis using CD44-Fas chimeric proteins"Journal of Immunology. 163. 1258-1264 (1999)