2000 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子p53の遺伝的多型を指標とする胃癌・大腸癌の高危険度群の探索
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11770182
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白木 孝 神戸大学, 医学部, 助手 (10294208)
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Keywords | p53 / 遺伝的多型 / 危険因子 / 分子疫学 |
Research Abstract |
本研究は癌抑制遺伝子p53の遺伝的多型を指標として、胃癌及び大腸癌の高危険度群を予測することを目的としている。前年度中に胃癌、大腸癌及び健常者各200例ずつのエクソン4、イントロン2、3、6、7及びイントロン3の16塩基の繰り返し配列の多型の遺伝子型の決定は終了しているので、本年度は詳細な統計解析を行った。その結果、年齢、性別をマッチさせた全対象者について解析を行うと、胃癌群、大腸癌群と健常者群との間では、遺伝的多型の分布に有意な差は見られなかったが、55歳以下の女性に限定した階層化を行うと、イントロン7の遺伝的多型に関して、胃癌群でヘテロの割合が有意に高いという結果が得られた。そしてエクソン4、イントロン2、3、6、7及びイントロン3の16塩基の繰り返し配列の多型は互いに高度に連鎖していることが証明されたため、この有意にヘテロの割合が高かったハプロタイプは、エクソン4、イントロン2及びイントロン7の3ヶ所が変異型で他の3ヶ所は野生型であることが明らかとなった。従ってこのハプロタイプをヘテロに持つ55歳以下の女性は、胃癌の発生する危険度が高い可能性があるが、55歳以下の女性という階層化を行い例数が減少しているため、今後この階層に照準を絞り、さらに多くの対象者で解析を続けていくことが必要である。また、イントロン7の遺伝子型の解析を行った際、アレルの頻度は少ないもののイントロン7に新たな遺伝的多型を2ヶ所見出しており、これも含めてイントロン7の遺伝的多型の発癌の危険因子としての役割に関する研究をさらに行う必要があると思われる。
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