2000 Fiscal Year Annual Research Report
マーシャル諸島住民の放射線被曝後の甲状腺がん発症に対するヨード欠乏の影響
Project/Area Number |
11770184
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高橋 達也 長崎大学, 医学部, 講師 (50304928)
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Keywords | マーシャル諸島 / ヨード欠乏 / 甲状腺結節 / 放射線被曝 / 交互作用 / 甲状腺癌 |
Research Abstract |
1993年から1997年まで、マーシャル諸島甲状腺研究(The Marshall Islands Nationwide Thyroid Disease Study)によって、現地で医学的・疫学調査が行われた。具体的には、甲状腺疾患に対する臨床理学的検査、超音波検査、穿刺吸引細胞診、癌が疑われる症例に対する外科手術、及び外科手術標本に対する病理組織学的検討が実施された。また、甲状腺機能検査として、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモン(T3、T4)、及び抗甲状腺自己抗体が測定された。さらに、随時尿のヨード排泄量も測定された。今回、その研究の結果を踏まえて放射線による甲状腺癌発生とヨード欠乏について検討した。 ヨード欠乏は、甲状腺結節のリスクであることは広く知られている。そこで、尿中のヨード濃度を研究調査に参加した364人の成人と、69人の子供の随時尿について測定した。また、代表的な食物についてヨード含有量を測定した。 マジェロ在住の309人では、正常だったのは25%で、他はすべてヨード欠乏状態だった。特に、3人(1%)は、重度の欠乏状態だった。この中での、甲状腺結節発生頻度を見るとヨード欠乏群は女性で、正常群の3倍の発生率だった。しかし、男性ではこの傾向はなかった。 外洋に孤立するリキエップ環礁での成人55人では、正常はわずか5人(9%)で残り90%以上は、ヨード欠乏であった。このうち7人(13%)は、重度欠乏であった。甲状腺結節の発生は、女性では1.2倍であった。 本研究によって、今までは予想もされていなかったほど高頻度(30%以上)の中等度-重度ヨード欠乏が認められた。この、マーシャル諸島での食生活上の問題の原因は、不明である。しかし、放射線被曝による甲状腺結節発生を修飾している可能性が大きく、今後の継続した研究が必要である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Tatsuya Takahashi et al.: "A Progress Report of the Marshall Islands Nationwide Thyroid Study-An International Cooperative Scientific Study"Tohoku Journal of Experimental Medicine. 187(4):. 363-375 (1999)
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[Publications] Tatsuya Takahashi et al.: "Thyroid nodules, thyroid function and dietary iodine in the Marshall Islands"International Journal of Epidemiology. 28. 742-749 (1999)
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[Publications] K.R.Trott et al.: "Thyroid Cancer and Thyroid Nodules in the People of the Marshall Islands potentially Exposed to Fallout from Nuclear Weapons Testing"Radiation and Thyroid Cancer, World Scientific, Singapore. 41-49 (1999)
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[Publications] R.M.Tuttle et al.: "Activation Rate of RAS and RET/PTC in Nodular Thyroid Disease Developing in the Marshall Islands"Radiation and Thyroid Cancer, World Scientific, Singapore. 269-272 (1999)
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[Publications] 藤盛啓成 他: "マーシャル諸島住民の甲状腺疾患と被曝の影響"核医学技術. 19(3). 277-281 (1999)
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[Publications] 中島範昭 他: "マーシャル諸島の放射線障害"臨床検査. 43(11). 1433-1438 (1999)
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[Publications] Tatsuya Takahashi et al.: "Thyroid Disease in the Marshall Islands-Findings from 10 Years of Study"Tohoku University Press. 160 (2001)