1999 Fiscal Year Annual Research Report
寒冷地域における地域障害高齢者の生活リズムと介護ニーズの季節変動に関する研究
Project/Area Number |
11770190
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
前田 明 秋田大学, 医学部, 助手 (40264543)
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Keywords | 行動リズム / 行動量 / 寒冷地域 / 脳卒中後遺症者 / 季節変動 |
Research Abstract |
本年度の研究では、寒冷地域の障害高齢者の生活行動量、行動リズムを携行型行動量計を用いて冬期および夏期に測定することで、寒冷地域における介護サービスの時間的ニーズ、季節ニーズを明らかにすることを目的とした。対象は秋田市在住の脳卒中後遺症を持つ高齢者19名であり、平均年齢±SDは64.3±7.46歳であった。冬期、夏期、それぞれ1週間の日常生活行動量、行動リズムを携行型行動量計(Acti-watch)を非麻痺側の手首に装着して測定した。その他に日常生活動作能力の測定、簡易生活リズム質問紙による調査を行った。 その結果、1週間測定した行動量を1日当たりに平均して求めた1日平均行動量は、夏期172623.3±84202.1(counts以下単位省略)、冬期137301.4±93331.5と冬期において有意に減少した。また日中の行動量(6時から21時)は、夏期145961.4±80374.6、冬期117514.8±74393.0、夜間の行動量(21時から6時)は、夏期27286.9±22156.5、冬期19781.6±14986.8であり、いずれも冬期において有意に減少した。生活行動リズムのパターンをMotohashiらの方法を用いて分類すると、夏期において、正常型15名、昼夜境界消失型1名、自由継続型2名、行動量減少型0名、ウルトラディアン優位型0名、混合型1名であった。それに対して、冬期における分類では、正常型10名、昼夜境界消失型2名、自由継続型3名、行動量減少型0名、ウルトラディアン優位型1名、混合型3名であり、冬期における行動リズム異常の例が多い傾向が認められた。行動リズム異常を示した対象者の日常生活動作能力は、正常を示す対象者よりも有意に低い傾向を示し、簡易生活リズム質問紙による総合得点も低い傾向を示した。本研究において、寒冷地域における在宅脳卒中後遺症者の冬期の行動量は夏期に比べて減少し、行動リズム異常の出現頻度も多くなったことが明らかとなった。行動量の減少は、日中の行動量に大きく依存することから、冬期は特に日中の機能回復訓練、社会的接触、外出、入浴などの頻度を増加させ、社会的同調を強化させていくことが重要であると考えられた。
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[Publications] Maeda, et al.: "Reliability and validity of physical performance tests for stroke survivors"Am. J. Phys. Med. Rehabil.. in press.
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[Publications] 前田 明 ほか: "寒冷地域における在宅脳卒中後遺症者の行動量と行動リズムの季節変動"日本公衆衛生雑誌. 46・10. 586 (1999)
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[Publications] 前田 明 ほか: "在宅脳卒中後遺症者の行動リズム異常の特徴"日本衛生学雑誌. 54・1. 344 (1999)