1999 Fiscal Year Annual Research Report
尿を材料とした風疹ウイルス抗体測定法の確立とその疫学的有用性について
Project/Area Number |
11770215
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Research Institution | Kanagawa Prefectural College of Nursing and Medical Technology |
Principal Investigator |
大屋 日登美 神奈川県立衛生短期大学, 衛生技術科, 助手 (80249060)
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Keywords | 風疹ウイルス抗体 / 尿 / 疫学 / 予防接種 |
Research Abstract |
目的:ウイルス感染症の疫学調査は,血清を材料にして行われているが,採血は痛みや不快感を伴うために,一般健常集団の調査、とくに、小児や老人を対象とした調査では困難である。尿は、採取が容易で、採取量が多いことから、疫学調査において多くの情報が得られる可能性がある。本研究では、尿を材料とした風疹抗体測定法を確立し、風疹予防接種後及び初感染例の尿中抗体を測定し、その疫学的有用性を検討した。 対象と方法:横浜市内の看護学校(2校)の協力で、1997〜1998年に合計244名から、インフォームドコンセントを得て、採血・採尿を行った。風疹感染例は、7医療機関・小児科に依頼し、12例について保護者にインフォームド・コンセントを行い、感染急性期(2-5病日)と回復期(4-6週間後)に血液および尿を採取した。風疹ワクチン接種例は、風疹抗体陰性者11例(看護学生等)にインフォームド・コンセントを行い、ワクチン接種時、3週後、6〜7週後に血液と尿を採取した。この内4例は、1年後も血液と尿を採取した。 血清中風疹抗体は、プラテリアルベラIgG(富士レビオ)、VIDAS Rubella-IgG及びIgMキットで測定し、尿中風疹1gG抗体は、ELISA法で測定した。 結果:1)尿中風疹抗体測定法の特異度は95.8%,感度は98.9%であった。 2)風疹初感染例:回復期血清で風疹特異IgG抗体が有意に上昇した6例は、尿で同様の抗体上昇を確認した。急性期から血清に風疹IgG抗体を認めた症例(2例)では、尿で同様に抗体が認められた。ペア血清で風疹未感染であった4例は尿においても抗体陰性であった。 3)風疹ワクチン接種例:接種した全例は、6〜7週後の血清で風疹IgG抗体が上昇していた。この内10例は尿で同様に風疹特異IgG抗体の上昇が確認できた。また、1年後の4例でも全例に尿中で風疹1gG抗体を認めた。
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