1999 Fiscal Year Annual Research Report
在宅片麻痺患者・家族の不安の意識に注目した生活環境評価に関する研究
Project/Area Number |
11770217
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health and Welfare |
Principal Investigator |
宮口 英樹 広島県立保健福祉短期大学, 作業療法学科, 助手 (00290552)
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Keywords | 生活環境 / 障害者 / 住宅改造 / 片麻痺 / 福祉機器 |
Research Abstract |
本年度は、片麻痺患者が在宅生活を送るにあたって患者や家族がどのような不安をいだいているのかを調査するために先行研究から調査項目の検討を行った。過去5年間の報告をみると在宅にあたってリハビリテーション医療における生活環境の整備として行われた内容は、おおむね住宅改造、福祉機器の導入、介護者への指導であった。在宅生活で最も重視されていることは、身体の健康管理であり、将来に身体機能が低下することへの不安は概ねいずれの調査においても認められた。住宅改造に期待する効果については、患者・家族とも家族の負担軽減、排泄の自立をあげていた(高知県リハビリテーション研究会)。入浴動作は、転倒経験があったり、高次脳機能障害の影響が考えられる場合には、住宅改造しても在宅での入浴は行われていないケースが多い(宗近ら)。しかし、入浴動作に関しては入浴サービスの利用が普及していることから家族が負担を感じる割合は少なかったが、ちょっとした床からの立ち上がりやベットヘの移動での介助時に家族がストレスを感じることが多いことが指摘されている(竹下ら)。また病院から在宅への移行システムの問題点として、病院内のADL訓練が在宅での自立に必ずしも結びついていないことが指摘されている。そのための方策として、退院前外泊訓練、早期の在宅訪問、福祉機器の導入などが行われており、より生活に近い具体的な指導を行うことが不安の軽減に一定の効果があることが示されている。 以上のような先行研究と実際、現在病院で使用されている住宅改造評価をいくつか参考にし、留意点を検討した。その結果、生活環境評価の研究は、身体能力と住環境との適合を意図したものが中心であった。すなわち作業療法士など評価者による客観的身体能力の予測のもとに生活環境評価が行われていた。そのため調査項目では、患者・家族の主観的な能力評価を取り入れることが本研究の目標と言える。
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