2000 Fiscal Year Annual Research Report
在宅片麻痺患者・家族の不安の意識に注目した生活環境評価に関する研究
Project/Area Number |
11770217
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health Sciences |
Principal Investigator |
宮口 英樹 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (00290552)
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Keywords | 生活環境 / 障害者 / 片麻痺 / 評価 / リスク / 能力 |
Research Abstract |
片麻痺患者・家族が在宅生活を送るにあたって感じている不安や危険に対する意識を取り入れた生活環境評価を実際に作成し、この評価を用いて介入方法の検討を行った。この評価の特徴は、1)能力・リスクに対する患者・家族の主観的評価を取り入れたこと、2)実際に行っている活動の他に活動を行った場合に予測されるリスクの認知を取り入れたこと、3)評価を患者、家族及びセラピストの3者に対して行なったことである。調査は病院でリハビリテーションを受けている片麻痺患者23名(男性10名、女性13名、平均年齢63.1±5.9才)に対して行なった。方法は、調査項目(歩行、階段の昇降、トイレ、入浴、買い物、掃除、洗濯、料理、交通機関の利用、車の運転)に対し、(1)どの程度できると思うか、(2)そのためにどの程度注意が必要だと思うか(どの程度危険が伴うと思うか)を尋ねる方法とし、セラピストと患者及び家族との評価の一致率、活動に対する能力及びリスクの認知の差異について検討した。 調査の結果、患者の主観的能力に対する評価の一致率は、患者-セラピスト35.6%、家族-セラピスト32.7%、リスク評価の一致率は、患者-セラピスト33.6%、家族-セラピスト41.4%であり、能力やリスクに対する患者の主観的評価と家族やセラピストの評価が一致しにくいことが分かった。但し、トイレや階段の昇降では一致率が高く、料理や車の運転では一致率が低かったことから実際に行っている活動が能力やリスクを把握しやすい傾向が見られた。また、患者本人や家族の方がセラピストと比較し能力を低く感じ、かつリスクが高いと感じる傾向があること、そして患者本人と家族では、能力の認知に関しては差異がないが、患者は家族よりもリスクをより強く感じる傾向にあることが分かった。 以上のことから、片麻痺患者の在宅生活を考えるにあたっては各自の生活で予測されるリスクに対する意識を取り入れた生活環境評価を基にコミュニケーションを行うことが必要だと思われる。
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