1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770224
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
高取 聡 大阪府立公衆衛生研究所, 食品衛生部, 研究員 (90311480)
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Keywords | 内分泌かく乱物質 / 酵母Two-Hybrid法 / エストロジェン / 農薬 / 食品添加物 / p-アルキルフェノール / スチレンダイマー / スチレントリマー |
Research Abstract |
我々は、食品を介して多種の化学物質を体内に取り込んでいる。これら化学物質について、その内分泌かく乱作用を評価することは極めて重要である。 本研究代表者は、食品を介して日常的に摂取されうる農薬等の化学物質に重点を置き、酵母Two-Hybrid法を用いてそのエストロジェン様作用について検討した。農薬についてはo,p'-DDT、o,p'-DDD、p,p'-DDT、及びp,p'-DDDにエストロジェン様作用があることを明らかにした。また、食品添加物のパラベン類にエストロジェン様作用があることを示した。食品の包装、及び容器由来の化学物質では、ビスフェノールA、p-アルキルフェノール類、及びフタル酸ベンジルブチルにエストロジェン様作用があることを明らかにした。更にp-アルキルフェノール類のアルキル基の構造とエストロジェン様作用との関連性について詳細に調べた。その結果、アルキル基の主鎖の炭素数が5のときにエストロジェン様作用が最も強くなることを見い出した。 また、本研究代表者は、酵母Two-Hybrid法の操作過程に化学物質のS9 mix処理過程を組み込む方法を作製した。これによって代謝産物のエストロジェン様作用を検出することが可能となった。本法を用いて、ビフェニル、o-フェニルフェノール、スチレンダイマー、及び一部のスチレントリマーの代謝産物にエストロジェン様作用があることを見い出した。これら化学物質自体には、エストロジェン様作用は認められなかった。これらの実験事実は、内分泌かく乱作用においても代謝産物の作用を重視しなくてはならないことを強く示唆している。よって本研究結果は、化学物質の内分泌かく乱作用を評価するうえでの新たな方向を指し示したといえる。
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