2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770224
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Research Institution | Osaka Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
高取 聡 大阪府立公衆衛生研究所, 食品衛生部, 研究員 (90311480)
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Keywords | 内分泌かく乱物質 / 酵母Two-Hybrid法 / エストロジェン様作用 / 甲状腺ホルモン様作用 / 代謝活性化 |
Research Abstract |
本研究者は、酵母Two-Hybrid法を用いて種々の化学物質のエストロジェン様作用を評価し、作用を示すうえで化学物質がフェノール性水酸基を有することが重要であると示唆した。 更に化学物質のS-9 mix代謝物のエストロジェン様作用を評価した。代謝により新たに作用を発揮するうえで、ベンゼン環に付随する疎水性の置換基のp位に水酸基が導入されることが重要であった。農薬ではo,p'-DDT、メトキシクロル、ビフェニル及びカルバリルの代謝物にエストロジェン様作用が認められた。これら農薬について530検体の市場流通下にある国内産農物中の残留量を調べた。その結果、2検体にカルバリルの残留が認められた。これら農薬の検出率は0.37%であり、残留農薬のエストロジェン様作用を示す化学物質の摂取量に対する寄与は低いと考えられた。他に代謝されてエストロジェン様作用を発揮する化学物質として多環芳香族化合物、臭素化ジフェニルエーテル、PCB、ベンゾフェノン誘導体、スチレンダイマー及び一部のスチレントリマーがあった。これらには、食品の容器や家電製品又は香粧品に使用されているものが含まれる。従って、使用する食品の容器や個人の生活様式によりエストロジェン様作用を示す化学物質の摂取量は変動すると考えられた。また、臭素化ジフェニルエーテル及びPCBは蓄積性を有する。従って、乳幼児の母乳からの摂取量についてエストロジェン様作用の観点から解析する必要があると示唆された。 種々の化学物質の甲状腺ホルモン様作用について同様に酵母Two-Hybrid法を用いて調べた。その結果、o-t-ブチルフェノール及びo-イソプロピルフェノールに作用があることが分かった。甲状腺ホルモン様作用を示すうえでフェノール性水酸基を有することが重要であった。これは、化学物質の代謝物の甲状腺ホルモン様作用を評価する必要性を示唆している。
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