1999 Fiscal Year Annual Research Report
虚血心筋におけるGAPDH遺伝子発現の分子機構と細胞死(アポトーシス)誘導機序
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11770231
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
秋 利彦 山口大学, 医学部, 助手 (60304474)
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Keywords | 心筋 / 虚血 / 低酸素 / GAPDH |
Research Abstract |
心筋虚決による細胞傷害・細胞死のメカニズムの解明を目的として、特に解糖系酵素グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の細胞死への関与を中心に研究を行った。まず、ラット心臓を摘出し灌流した系で既にGAPDH及び熱ショック蛋白質が細胞骨格へと移行することがわかっていたので、ラット心筋由来細胞株H9c2細胞を用い虚血のモデルとして代謝阻害緩衝液に細胞をさらしたところ、やはり熱ショック蛋白質の一つであるHSP27が細胞骨格へと移行する事がわかった。更にやはり虚血のモデルとして低酸素ストレスを細胞に負荷したところHSP27が細胞死と平行して消失することを確認した。これはHSP27が低酸素ストレスに対して細胞を保護する役割を果たしていることを示していると考えられた。次にGAPDHの低酸素ストレスにおける動態を調べたところ発現が上昇していること及び核へと移行していることがわかった。解糖系の阻害剤である2-deoxy glucoseを細胞に投与したところ低酸素による細胞死を顕著に抑制することができた。このことから解糖系の低酸素による亢進が細胞死に寄与していることがわかった。更に細胞死はネクローシスの特徴を呈し、細胞死の直接の引き金はpHの低下であった。従ってこの細胞死におけるGAPDHの発現亢進は、従来いわれていたGAPDHのアポトーシスの促進因子としての役割を反映しているというより、低酸素下では解糖系の亢進が酸化的リン酸化の欠如と相まってpHの低下による細胞死を引き起こすものであり、その際の解糖系の亢進を反映しているものであることがわかった。
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Research Products
(1 results)