1999 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンによって免疫系細胞に発現誘導される新規遺伝子の検討
Project/Area Number |
11770243
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小池 竜司 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50250220)
|
Keywords | GOR / C型肝炎ウィルス / ヒト8番染色体 / エストロゲン / 核蛋白 |
Research Abstract |
我々が既に単離したGORヒトホモログの遺伝子断片をもとにその全翻訳領域のアミノ酸配列を決定し、過去に報告されているチンパンジーの配列とを詳細に比較したところ、その相同性が非常に高いにもかかわらずC末端側約200残基が翻訳されない短い蛋白を生成することがわかった。それに伴い、従来C型肝炎ウィルスに対する抗体検索系に用いられ、抗原交差性が存在すると予測されていた配列はヒトにおいては翻訳されず、自己の蛋白としてでなく偶然交差反応性を有するペプチドであった可能性が高いと考えられた。 同遺伝子断片をプローブに用いたゲノムサザン解析では、少数のバンドから成るパターンを認めヒトにおいてGORホモログが単一遺伝子であることが示され、他種哺乳動物のゲノムDNAに対しても明瞭な交差反応が見られたことから、高等動物においてはGOR遺伝子が種を超えて保存されていることが予想された。ただし鳥類では同反応が認められず、相同性が低い可能性が示唆された。また本配列についてデータベース検索を反復して行ったところ、ヒト8番染色体上の遺伝子として最近新たに登録されていることも明らかになった。全身諸組織や細胞株での発現をRT-PCR法にて検索したところ、一般的には通常の状態でのmRNAの発現は検索を行った臓器や細胞株においてはほとんどなく、単球系細胞株であるU937細胞においていったんstarveした後にエストロゲンを添加すると約48時間で発現がピークに至り、その後減弱していくことが判明した。 GOR遺伝子産物の蛋白としての意義に関しては、自己発光蛋白であるGFPとの融合蛋白を哺乳動物細胞株に発現させたところ、粗大な顆粒形成を伴って核周囲に集合し、一部は核内へ移行していくのが観察され、この遺伝子産物が多量体を形成する核蛋白である可能性が示唆された。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Satoh H, Iizuka T., Koike R, 他: "Assigument of the Madcam 1 gene to rat csromosome 7g11.2 →g12 by fluorescence in situ hybridization, Somatic cell hybrids and linkage analysis."Cytogenetice and Cell Grenetics. 86. 223-224 (1999)
-
[Publications] Nanki T, Koike R, Miyasaka N: "Subacute severe steatohepatitis during prednisolone therapy for systemic lupus erythematosus."American Jourual of Gastro enterology. 94. 3379-3379 (1999)
-
[Publications] Iizuka T, Tanaka T, Suematsu M, Miura S, Watanabe T, Koike R 他: "Stage-specific expression of Mucosal Addressin Zell Adhesion Molecule-1 during embryogenesis in rats."The Journal of Immunology. in press. (2000)
-
[Publications] Nishimura T, Koike R, Miyasaka M: "Mammavy glands of Aly mice : developmental changes and lactation-related expression of specific proteins, alpha-Casein, Glycam-1 and MAdCAM-1"American Journal of Reproductive Immunology. im press. (2000)
-
[Publications] 川嶋道子・小池竜司 他: "頚部痛のみを初発症とし、MRIにて診断しえた潰瘍性大腸炎合併の高安動脈炎の1例"日本臨床免疫学会会誌. 22・5. 317-323 (1999)
-
[Publications] 小池竜司: "リンパ球レベルにおける炎症反応の制御戦略"医学のあゆみ. 190・10. 879-883 (1999)
-
[Publications] 熊坂一成他編(共著): "これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集"医学書院. 740 (1999)