1999 Fiscal Year Annual Research Report
MRL/MpJ-1pr/1prマウスの病態と自己反応性T細胞に関する研究
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11770250
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤井 隆夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70255462)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / MRL / MpJ-1pr / 1prマウス / 自己反応性T細胞 / 抗dsDNA抗体 / 腎血管炎 |
Research Abstract |
本年度われわれは,限界希釈法によって,MRL/MpJ-1pr/1prマウス(MRL/1prマウス)脾細胞から13種のT細胞クローンを分離した。うち5種のクローンにおいて、外来抗原を加えることなく抗原提示細胞(放射線照射により非活性化した同種脾細胞,APC)存在下で明らかに増殖が刺激され,これらのT細胞クローンはAPC依存性に自己抗原を認識するT細胞であることが示唆された。また3種類は抗CD3抗体刺激にてIFNγを,他の2種類はIL-4を分泌し,それぞれTh1およびTh2細胞と考えられた。それらの詳細な抗原特異性,T細胞レセプターの構造について今後の課題である。 なおin vitroにおいて,B細胞と混合培養することによって抗dsDNA抗体産生を刺激するクローンmry51(Th1)をMRL/1prマウスに移入し,同クローンと関連する病態の誘発を試みた。コントロールとしてPBSを注射する群と,放射線照射により非活性化したmry51を移入する群をつくり,群間で抗dsDNA抗体価,組織所見を比較した。mry51移入群ではPBS群に比し,14週齢から血清中の抗dsDNA抗体価が上昇した。またmry51移入群ではMRL/1prマウスに特徴的とされる後頸部の脱毛がより著明で,腎組織でも気管炎が重症化した。一方で,放射線照射にて非活性化したmry51を移入した群では,むしろPBS群に比しても抗dsDNA抗体価が低下し,また皮膚病変,腎血管炎が軽症化する傾向がみられた。これらの変化は誰よりも雌のマウスでより明らかであった。現在,それぞれの群のマウスの数と細胞の投与回数を増やし再検討中である。また非活性化したT細胞により病態が軽症化することはきわめて興味深い知見であり,T細胞ワクチネーションとして用いることが可能かどうかについても現在実験を進めている。
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