1999 Fiscal Year Annual Research Report
強力な好酸球遊走因子5-oxo-ETEの受容体遺伝子の単離とその性状、発現の解析
Project/Area Number |
11770252
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
岸本 成史 帝京大学, 薬学部, 助手 (60234217)
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Keywords | 5-oxo-eicosatetraenoic acid / 好酸球 / 遊走因子 / 受容体 / cDNAクローニング / G-タンパク質 |
Research Abstract |
本年度は、好酸球の強力な遊走因子である5-oxo-eicosatetraenoic acid(5-oxo-ETE)の受容体cDNAをクローニングすることを目的として、種々の白血球遊走因子受容体のcDNAを広くクローニングする方法を開発した。35種類の既知の白血球遊走因子受容体およびその他のG-タンパク質共役型受容体遺伝子の塩基配列のうち比較的よく保存されている第2の膜貫通領域の一部の配列をプローブ(縮重オリゴヌクレオチド)として、Gene Trapper cDNA positive selection systemを用いてヒト白血球cDNAライブラリーから白血球遊走因子受容体cDNAを濃縮したサブライブラリーを作製した。このサブライブラリーについて種々の遺伝子の配列をプローブとしてコロニーハイブリダイゼーションを行なったところ、fMLP受容体cDNAは18,000倍、LTB_4受容体cDNAは1,500倍以上濃縮されていたのに対し、β-actin cDNAの陽性率は減少しており、複数の白血球遊走因子受容体cDNAが効率良く濃縮されていることが確認された。この濃縮ライブラリーをCOS-7細胞またはHEK293細胞へ形質導入し、細胞内カルシウム応答を指標として発現スクリーニングしたところ、fMLP受容体、LTB_4受容体、CXCR1、CCR3、CCR1のcDNAを1〜2回のスクリーニングでクローニングすることができた。しかしながら、5-oxo-ETEに対する陽性クローンは得られなかった。5-oxo-ETEは好酸球や好中球の細胞内カルシウム応答を惹起させ、この応答は百日咳毒素で完全に阻害されたことから、5-oxo-ETE受容体は百日咳毒素感受性G-タンパク質に共役し、PLCβ2の活性化を介して細胞内カルシウム応答を引き起こすものと考えられた。COS-7細胞やHEK293細胞はPLCβ2をほとんど発現しておらず、これが5-oxo-ETE受容体cDNAを検出出来なかった原因と考えられた。次年度ではPLCβ2を共発現させて5-oxo-ETE受容体の発現スクリーニングを試みる予定である。
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