1999 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスNSSA蛋白によるインターフェロンシグナル伝達抑制機構の解析
Project/Area Number |
11770269
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒崎 雅之 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10280976)
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Keywords | インターフェロン / HCV / NS5A |
Research Abstract |
C型慢性肝炎症例の血清からRT-nested PCR法を用いてNS5A遺伝子を増幅、ISDRに種々の変異を有するNS5A遺伝子をクローニングし、発現ベクターに組み込んだ。さらにインターフェロン誘導遺伝子のpromoter領域に存在するINF stimulated response element(ISRE)の下流にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだレポーターベクターを作成し、NS5A発現ベクターとともに培養肝細胞株(HuH-7)に遺伝子導入した。インターフェロン刺激によりシグナル伝達系が活性化され、その結果としてルシフェラーゼ蛋白が発現するが、その発現量はケミルミノメーターで定量的に解析することが可能である。この系において、NS5Aのアミノ酸変異がシグナル伝達に及ぼす影響を、インターフェロン刺激により誘導されるルシフェラーゼ蛋白の発現量の変化として解析した。ISREレポーターベクターを遺伝子導入した細胞ではインターフェロン刺激によりルシフェラーゼが誘導されたが、NS5A発現ベクターの同時遺伝子導入により、インターフェロンにより誘導されるルシフェラーゼ活性は抑制された。ルシフェラーゼを強制発現するベクター、pGL3 controlを遺伝子導入した細胞においてはNS5Aはルシフェラーゼ発現に影響せず、NS5Aによるルシフェラーゼ活性の抑制はインターフェロンシグナル伝達の阻害を反映していると考えられた。この抑制効果は、NS5A wild typeでは29-53%であったのに対し、ISDRに変異を有するNS5A intermediateおよびmutant typeでは8-31%であり、NS5A wild typeにおいてより強い抑制効果がみられた。HCV-NS5A蛋白は、インターフェロンにより誘導されるレポーター遺伝子の発現を抑制し、その効果はISDRの構造と関連していることが示された。NS5A蛋白によるインターフェロン治療抵抗性の機序として、細胞内のインターフェロンシグナル伝達抑制機構が存在することが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nagayama K, Kurosaki M et al.: "Time related changes,in full-length hepatitis C virus sequences and hepatitis activity"Virology. 263. 244-253 (1999)
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[Publications] Hurakami T, Enomoto N, Kurosaki M et al.: "Mutations in NS5A gene and response fo IFN in lupatitis C virus gene type 2 infection"Hepatology. 30. 1045-1053 (1999)