1999 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスモデルを用いたウイルス性肝発癌の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
11770270
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中本 安成 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (40293352)
|
Keywords | トランスジェニックマウス / B型肝炎ウイルス / 慢性肝炎 / 肝細胞癌 / 移植 / 免疫反応 / リンパ球 |
Research Abstract |
慢性ウイルス肝炎からの肝発癌に関与するウイルス側、宿主側要因を明らかにする目的で、マウスモデルを用いて検討した。B型肝炎ウイルストランスジェニックマウスに、同系統の野生型マウスから骨髄細胞、脾細胞を移植することによって慢性肝炎モデルを作成した。肝炎の経過を観察すると、約17カ月後に肝細胞癌が発症した(J.Exp.Med.188:341,1998)。 1.ウイルス側要因の検討として、肝組織におけるウイルス遺伝子の発現をRNA、タンパクレベルで検討すると、前癌状態、非癌組織における発現はやや低いレベルながら持続していた。癌組織におけるウイルス遺伝子の発現レベルには多様性を認め、ウイルス遺伝子または発現調節因子の変異が示唆された。 2.宿主側要因の検討として、慢性肝炎を誘導している免疫反応の本態を検討する目的で、移植する脾細胞を表面マーカーを用いて各分画に分離することによって役割を検討した。 (1)CD4陽性Tリンパ球;慢性肝炎の増悪期に作用していた。 (2)CD8陽性Tリンパ球;慢性肝炎の増悪期および遷延化に作用していた。 (3)Bリンパ球;慢性肝炎の発症に直接関与していなかった。 肝発癌過程には以上のウイルス側、宿主側要因の関与が示唆された。
|
-
[Publications] Yasunari Nakamoto: "Inhibition of peripheral blood lymphocyte apoptosis by soluble Fas ligand in patients with hepatocellular carcinoma."Oncology Reports. 6. 733-739 (1999)
-
[Publications] Yasunari Nakamoto: "Immune pathogenesis of hepatocellular carcinoma."Journal of Experimental Medicine. 188. 341-350 (1998)