2000 Fiscal Year Annual Research Report
動物モデルを用いた非ステロイド性消炎鎮痛薬による大腸発癌抑制機構の解明
Project/Area Number |
11770272
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岸本 洋輔 鳥取大学, 医学部, 助教授 (10273905)
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Keywords | 大腸癌 / アゾキシメタン / 非ステロイド性消炎鎮痛薬 / ラット / APC / β-カテニン / シクロオキシゲナーゼ |
Research Abstract |
我々は平成11年度までの研究で、ラットにおけるアゾキシメタン(AOM)誘発大腸前癌病変であるaberrant crypt foci(ACF)の存在する大腸粘膜では、発癌物質であるAOMを投与する(15mg/kg/回、1回/週、3週)以前から、あるいは投与開始と同時に非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)を日常的(10mg/kg/回、3回/週、sacrificeするまで)に投与しておくと、AOM初回投与から4週の時点でACFの発生数が50%程度減少するとともに大腸上皮細胞において大腸発癌抑制に重要な癌抑制遺伝子APCのmRNAの発現が約4〜6倍のレベルで高まっていることをつかんでいた。このことは、NSAID投与によるAPC発現の増加がACFの発生を抑制している可能性を示唆している。平成12年度は、APC蛋白発現やβ-カテニンの異常等について、大腸癌発生に至る約40週頃まで検討した。40週の段階までNSAIDsのsulindac(SD)やetodolac(ED)を継続的に投与しておくと大腸粘膜においてAPC発現は2倍に増加しており、4〜5週の頃と比べてACFの発生数もほとんど増加していなかったため、NSAIDのAPC発現増加作用が大腸発癌抑制に関与する可能性が強く示唆された。また、発癌後期段階ではaberrant cryptを6個以上持っているadvanced ACFや大腸癌にβ-カテニンの異常がみとめられ、COX-2発現も大腸癌の段階で著明に増加するが、やはり、発癌初期の段階で大腸前癌病変と考えられているACFの発生数を抑制することが、発癌抑制において重要と考えられる。それに関わる重要なメカニズムがSDやEDによるAPC発現増加と推察されるが、このAPC発現増加についてはRT-competitive PCRの他、免疫染色でも確認している。
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Research Products
(1 results)