2000 Fiscal Year Annual Research Report
多彩な作用を有するHGFの機能制御による肺癌増殖抑制の試み
Project/Area Number |
11770304
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳴海 晃 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (30302219)
|
Keywords | 肝細胞増殖因子(HGF) / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / NK4 / 腫瘍血管新生抑制 / 肺癌 |
Research Abstract |
【背景・目的】肝細胞増殖因子(HGF)のantagonistとして作用を持つHGF/NK4は、HGFα鎖の4つのkringleを有するfragmentである。angiostatinと類似の構造をもち、その血管新生阻害作用が注目されている。我々はこのHGF/NK4遺伝子を高発現するアデノウイルスベクター(AdCMV.NK4)を作製し、腫瘍増殖抑制効果と共に血管新生抑制効果を検討した。 【方法・結果】In vitroでヒト肺癌細胞(H358)に感染させNK4蛋白の発現を確認したが、細胞増殖に影響を与えなかった。次にヌードマウスにH358腫瘍細胞(1×10^7)を皮下移植し,AdCMV.NK4(1×10^9pfu,day 3,day10)を腫瘍内に注入し腫瘍径を対照群と比較した。移植後28日目には対照群と比べ著しい腫瘍増殖抑制効果が得られ(86.2%抑制,n=4,p<0.01)、摘出した腫瘍の免疫組織染色(CD31)では、NK4投与群において有意に血管数が減少し(60.0%抑制,n=4,p<0.0001)、Tunel法でapoptosisに陥った細胞の増加が認められた。さらに非担癌マウスの皮下にmatrigelを注入した後AdCMV.NK4(1×10^9 pfu)を投与しNK4の血管新生に及ぼす影響を検討した。注入6日後にmatrigelを摘出し侵入した血管数を測定すると対照群と比較しAdCMV.NK4投与により著しく血管密度が減少した(66.4%抑制,n=3,p<0.05)。 【考察】AdCMV.NK4は、in vitroでは腫瘍細胞への直接的作用がないにもかかわらず、in vivoで腫瘍増殖を阻害した。その腫瘍増殖抑制効果には血管新生抑制作用が関与している。アデノウイルスベクターを用いたHGF/NK4の遺伝子治療は肺癌に対し有望な治療法となり得る。
|
Research Products
(1 results)