1999 Fiscal Year Annual Research Report
気道粘膜への好酸球浸潤における気道収縮時のshear stressの関与について
Project/Area Number |
11770321
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
齊藤 雄二 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (30308853)
|
Keywords | 気管支喘息 / 好酸球 / shear stress / fitration / 接着分子 |
Research Abstract |
本研究における課題であったモルモットを用いたin vivoの実験系、およびin vitroにおけるヒト好酸球実験にて以下の新たな知見を得ている。 1 モルモットの気管支収縮における好酸球浸潤について Hartley系雄モルモットにて、右迷走神経に電気刺激を行い、右気管支のみを収縮させた後、形態学的検討を行った。その結果、収縮させていない気管支(左肺の気管支)と比較し収縮した気管支(右肺の気管支)にて、粘膜部に有意に好酸球の集積増加が認められ、外膜部では逆に有意に好酸球の集積の低下が、認められた。この好酸球の粘膜部への集積増加は、形態学的な気管支収縮度と有意な正の相関関係が認められた。さらに、この現象における迷走神経の神経末端から電気刺激により放出されると考えられる化学伝達物質の影響を調べるために、cholinoceptor antagonistであるatropineを1mg/kgを前投与し、同様に右迷走神経刺激を行い形態学的な検討を行った。その結果、迷走神経刺激による気管支の収縮は認められず、また粘膜部への好酸球の集積増加も認められなかった。以上の結果より気管支収縮による粘膜部のshear stressによって好酸球は気管支粘膜部に集積すると考えられた。 2 ヒト好酸球のfiltrationによる活性化について 健常人より採取した血液より、多核白血球を分離精製し10%FBSを含んだRMPI1640にて1x10^6cell/mlに調整した。その後、気管支粘膜部の毛細血管と同等の直径を持った直径5μmのfilterに分離白血球を1or3ml/minの速度にてfiltrationを行い、flowcytemetryを用いてCD11bの発現をCD16-negative(好酸球)およびCD16-positive(好中球)の分画に分けて測定した。その結果、1ml/miのfiltrationにより好中球および好酸球膜表面上のCD11bの発現の有意な増加が認められ、その増加率は好酸球が好中球に比較して有意に高かった。また、この増加は細胞外Ca^<2+>-freeにては認められなかった。以上の結果より、好酸球は毛細血管を通過するときのshear stressにより活性化する可能性が示された。 3 今後の研究 今後、in vivoにおいては電子顕微鏡を用いた気管支粘膜部における好酸球集積の特定位置の同定を行う予定である。また、in vitroにおいては、filtrationによる好酸球活性化の機序について検討を行う予定である。
|