1999 Fiscal Year Annual Research Report
血管壁細胞における炎症・免疫反応のアンジオテンシンIIによる修飾とその役割
Project/Area Number |
11770355
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
市来 俊弘 九州大学, 医学部, 助手 (80311843)
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Keywords | アンジオテンシンII / インターロイキン6 / 血管平滑筋 |
Research Abstract |
アンジオテンシン(Ang)IIは体液・電解質バランスや血圧調節に関わる血管作動性物質であり、また心肥大や動脈硬化の進展に中心的な役割を果たすことが明らかになっている。近年動脈硬化の進展と炎症反応との関わりについて多くの研究がなされているが、Ang IIと炎症反応との関係については知られていない。そこでAng IIにより培養平滑筋細胞に、炎症反応に重要な役割を果たすサイトカインの一つであるインターロイキン(IL)-6の発現が誘導されるかどうかを検討した。 ラット大動脈由来平滑筋細胞を用いて、IL-6 mRNAをノーザンブロット法にて、培養上清中のIL-6をsandwich ELISA法にて測定した。ラットIL-6遺伝子のプロモーター領域をルシフェラーゼ遺伝子に結合しプロモーター活性を測定した。 AngII刺激24時間後の培養上清中のIL-6は対照の約3.5倍となった。mRNAは刺激後30分に約3倍に増加し、その発現誘導はAngII 1型受容体拮抗剤により抑制されるため1型受容体を介するものと考えられる。AngIIによるIL-6の発現誘導は細胞内カルシウムのキレート剤、チロシンキナーゼやmitogen-activated protein kinaseの阻害剤などの前処置により完全に抑制された。IL-6遺伝子プロモーターのcAMP response element(CRE)を含む領域を除去するとANgIIに対する反応性が失われた。 AngIIはチロシンリン酸化やmitogen-activated protein kinaseの活性化を介してIL-6の発現を誘導する事がわかった。またAngIIによるIL-6の発現誘導は、局所の炎症反応を促進し動脈硬化の進展等に関与している可能性を示唆するものと考えられた。
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