1999 Fiscal Year Annual Research Report
心筋分化、血液平滑筋分化に伴う選択的RNAスプライシングと転写因子との研究
Project/Area Number |
11770358
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
市田 勝 自治医科大学, 医学部, 助手 (30306146)
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Keywords | 筋特異的選択的RNAスプライシング / 心筋 / ATP合成酵素γサブユニット / MEF2 / Csx / マウス線維芽細胞 |
Research Abstract |
研究者は、骨格筋分化に伴いミトコンドリアATP合成酵素γサブユニット(F_1γ)、筋特異的転写調節因子MEF2AおよびMEF2D、構造蛋白のβーtropomyosinおよびNCAMの筋特異的スプライシングが筋特異的転写調節因子MyoDによって協調的に誘導される事を見い出した。 心筋細胞においても、F_1γ、MEF2Aなどの筋特異的選択的スプライシングが認められる。心筋において、これらの筋特異的スプライシングを支配している因子は何であるか検討を試みた。マウス胎児の心臓においてF_1γの筋特異的スプライシングは胎生9日目にすでに認められる。研究者は、マウス胎児心臓において早期より発現している心筋特異的転写調節因子CsXを用いて検討した。動物細胞発現ベクターに挿入したCsX cDNAを、リポゾーム法によりマウス線維芽細胞10T1/2細胞に一過性に遺伝子導入し、48時間後にRT-PCR法によりF_1γ、MEF2Aのスプライシングのパターンを検討した。その結果、F_1γ、MEF2Aの筋特異的スプライシングの誘導は認められなかった。 筋芽細胞を用いた骨格筋分化系において、MyoDが存在するだけでは筋分化(筋管細胞形成)および筋特異的スプライシングは誘導されず、無血清刺激(MyoDの阻害因子Idの減少)が加えられてスプライシングが誘導される事から、Csxにも無血清刺激等の条件が必要でないかと考えられた。また、遺伝子導入の効率が低くスプライシングが誘導されても検出できないためとも考えられた。今後、無血清刺激を含め筋特異的スプライシングが誘導され得る条件の検討が必要と思われた。
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