1999 Fiscal Year Annual Research Report
血栓症モデルにおける血栓形成部末梢の血管内皮機能障害に対する細胞接着分子の役割
Project/Area Number |
11770378
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
江口 裕之 久留米大学, 医学部, 助手 (60279164)
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Keywords | 血栓症 / P-selectin / SLe^x誘導体 / 接着分子 / 内皮機能障害 |
Research Abstract |
動脈硬化部の粥腫の損傷に引き続く、血小板粘着・凝集による冠動脈血栓形成により急性冠症候群は発症する。本症候群における冠動脈血栓形成部末梢の血管調節機能障害が臨床的にも認められるが、その機序は明らかでない。我々は、血管内皮障害を起した冠狭窄部の活性化血小板により冠血流が周期的に閉塞と自然再灌流を繰り返す(cyclic flow variations:CFVs)犬急性冠症候群モデルにおいて、血小板P-selectinと白血球SLe^X糖鎖の相互作用が血栓形成に関与している事を明らかにした。今回、我々はさらに、急性冠症候群モデルにおける血小板-白血球の細胞接着分子機構を介した相互作用が、冠狭窄部より末梢の冠動脈を障害させ得るのかどうかを検討した。一定時間CFVs観察後、冠動脈を摘出し、血管張力測定装置を用いて冠動脈の内皮依存性および非依存性血管弛緩薬に対する濃度依存性弛緩反応を検討した。CFVs20分後の冠動脈血栓形成部末梢の血管内皮機能は保持されていたが、CFVs80分後では末梢部の血管内皮機能は障害されていた。CFVsに無効量の抗P-セレクチン中和抗体(PB1.3)およびSLe^X誘導体(SLe^X-OS)投与によりCFVs80分後の末梢部の血管内皮機能は保持された。以上より、血管内皮P-selectinと白血球SLex糖鎖の相互作用が血栓形成部末梢の血管内皮障害に重要な役割を果たしている事が示唆された。現在我々はさらに、冠動脈の形態学的および免疫組織学的検討を行い血管内皮P-selectin発現の程度を検討している。
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Research Products
(1 results)