1999 Fiscal Year Annual Research Report
基底核障害に伴う異常運動及び睡眠・覚醒の異常に関する研究
Project/Area Number |
11770392
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
杉本 純子 旭川医科大学, 医学部, 助手 (40301999)
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Keywords | 尾状核 / コリン作動系 / 運動 / 情動 / 慢性無拘束ネコ |
Research Abstract |
本年度は、「基底核障害に伴う異常運動」に主眼をあて、基底核の行動制御に関する役割を解明することを目的とした。 基底核、なかでも尾状核は、大脳皮質から運動および情動に関する入力を受け、大脳皮質や脳幹・脊髄に出力を送る。これらの入出力は尾状核におけるドパミン系とコリン系の相互作用により修飾されると考えられている。以上から、尾状核におけるコリン作動系が、運動と情動双方の制御に関与すると考えた。そこで、無拘束ネコの尾状核頭部にコリン作動薬を微量注入、運動と情動の変化を解析し、尾状核コリン作動系の運動と情動の制御に関する役割を解明しようと試みた。 その結果、注入直後に反対側へ向かう回旋運動が出現した。3-7分後には歩行などの運動量の減少とともに発声(meowing)の減少がみられた。ネコが座り込むようになると、その後にhissingなどの嫌悪を表す行動が観察された。このときネコは、薬物注入前には好意をみせていた対象物を見てhissするなど、認知の変化も判っていると考えられた。 以上の結果から、尾状核は、運動量の制御、情動の変化、情動の表出に関わっており、この核におけるコリン作動系は、これらの調節に重要であることが示唆された。また、この基底核機能異常モデルは、今後、尾状核におけるコリン系が筋活動や睡眠・覚醒に及ぼす影響を知るためにも活用できると考えられた。 これらの研究成果は、第76回日本生理学大会、第79回北海道医学大会生理系分科会において発表した。
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Research Products
(1 results)