1999 Fiscal Year Annual Research Report
悪性リンパ腫細胞の接着依存性増殖の病態と接着阻害による増殖抑止効果の解析
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11770396
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 芳之 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (60250825)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / 接着分子 / インテグリン / 細胞増殖 / T細胞 |
Research Abstract |
【緒言】難治性癌性胸膜炎を伴う胸腺原発T細胞性悪性リンパ腫患者胸水より、線維芽細胞依存性に増殖する細胞株(L-KIM)を樹立し、その線維芽細胞上における増殖動態および接着分子の関与について解析した。 【方法】96ウェルプレートで培養後放射線照射された繊維芽細胞Balb3T3上でL-KIMを培養、[3H]チミジンの取込みを測定しL-KIMの増殖を評価した。ベータ1インテグリン(CD49d,CD49e,CD29)及びベータ2インテグリン(CD18)に対する単クローン抗体を培養系に添加し、増殖阻害効果を調べた。 【結果および考察】L-KIMはBalb3T3存在下では培養日数にともなって増殖を認めたが、Balb3T3非存在下では増殖は認められず、培養5日後には殆ど死滅した。L-KIM増殖は対照抗体存在下に比して抗CD49d抗体で50%、抗CD49e抗体で42%、抗CD29抗体で30%にまで阻害された。さらに抗49d抗体と抗CD49e抗体の両者の組み合わせでは抗CD29抗体と同等の増殖阻害効果が認められた。ベータ2インテグリンのCD18に対する抗体では増殖は阻害されなかった。L-KIMは線維芽細胞上でベータ1インテグリンを介する接着依存性に増殖し、主にVLA-4(CD49d/CD29)及びVLA-5(CD49e/CD29)の両者がそれに関与していると考えられた。L-KIMは悪性リンパ腫の局所増殖におけるインテグリンの関与を解明する上で有用なモデルになりうると思われた。
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