1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経細胞の移動異常におけるdoublecortin遺伝子の解析
Project/Area Number |
11770398
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
加藤 光広 山形大学, 医学部・小児科, 助手 (10292434)
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Keywords | 脳奇形 / migration disorder / double cortex syndrome / doublecortin / DCX遺伝子 / band heterotopio / 異所性灰白質 |
Research Abstract |
当初解析したXLISの症例中、PCR-SSCP法を用いたスクリーニングによりDCXに変異が検出されなかった6例(女4例、男2例)について、エクソン2から6までの塩基配列を決定した。その結果、1例で400A→G(Lys134Glu)の点変異を、1例でヌクレオチド残基682番にAの一塩基挿入を認めた。2例とも女性でヘテロ接合体であった。両変異とも、未報告の新しい変異であった。一塩基挿入の症例では、フレームシフトをおこし228番以降のアミノ酸の変化が予測される。いずれの変異においても機能的なDCX蛋白が合成されず、神経細胞の移動障害を惹起するものと推測される。点変異を認めた症例の母親についても検討したが、同部位の変異はなく、患者のde novoの変異と考えられた。 その後さらに、新たな7例のXLIS症例についてPCR-SSCP法で検討した結果、1女性例においてエクソン3の505C→Tの点変異を認めた。この変異はヘテロ接合体であり、これまでに報告のない新しい遺伝子変異であった。本症例では、169番のグルタミン(CAG)が終止コドン(TAG)に変化し、それ以降のペプチド合成が行われなくなると予測される。母親では同部位の変異はなく、患者のde novo変異と考えられた。 一般にSSCPの検出精度は70-80%といわれ、SSCPで明らかな異常を呈さない場合は、直接塩基配列を決定する必要がある。DCX遺伝子の変異部位は散在しており、今後、Denaturing Gradient Gel Electrophoresis(DGGE)法を含めた効率的なスクリーニング法の確立を行う予定である。また、典型的なXLIS症例だけでなく、他の原因不明の脳神経細胞移動異常症においてもDCX遺伝子変異の有無を解析する。
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