1999 Fiscal Year Annual Research Report
造血前駆細胞に対するヒトヘルペス6型(HHV-6)の作用
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11770408
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
磯村 寛樹 岡山大学, 医学部, 助手 (20294415)
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Keywords | ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6) / ヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7) / 造血幹細胞移植 / 造血前駆細胞 / 巨核芽球前駆細胞(CFU-Meg) / CD34抗原 / CD41抗原 |
Research Abstract |
近年、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)は造血幹細胞移植後の血小板生着不全との関連が報告され、移植後合併症の一つとしてその解決が求められていることを背景に実験を計画し、以下の結果を得た。 1.臍帯血単核球に含まれる造血前駆細胞をメチルセルロース半固形培地で培養し、トロンボポイエチン(TPO)で誘導される造血コロニーを種々の条件で培養したところ、巨核芽球コロニー(CFU-Meg)とnon-CFU-Megの2種類のコロニーが形成された。CFU-Megコロニーは"透明な細胞質と屈曲性のある細胞膜"をもつ細胞群を形態学的に同定し、それ以外のコロニーをnon-CFU-Megとした。CFU-Megコロニーを構成する細胞の大部分はCD41抗原陽性であった。 2.HHV-6の2つのvariant(HHV-6A,6B)及びヒトヘルペスウイルス7型(HHV-7)をそれぞれの感染価(MOI)で感染させ、CFU-Megコロニー形成に及ぼす影響を検討した。HHV-6A,6BはTPOで誘導されるいずれのコロニーも抑制するのに対し、HHV-7は全くコロニー形成に影響を与えなかった。さらにHHV-6BはCFU-MegコロニーをMOI依存的に抑制した。この抑制作用はウイルスの熱不活化やウイルスのフィルター除去によって完全に解除されることより、ウイルス自身の作用と考えられた。 3.CD34陽性細胞にHHV-6を感染させた後、3日間液体培養し、再度CD34陽性細胞分離してその細胞群からウイルスゲノムの検出を試みたところ、ウイルスゲノムがin situ hybridization法で検出できた。 以上によりHHV-6が直接、巨核芽球前駆細胞に作用して血小板産生を抑制する可能性が考えられ、このことがHHV-6による移植後の生着不全の原因ではないかと推察された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Isomura H 他8名: "Suppressive effects of human herpesvirus 6 on thrombopoietin-inducible megakaryocytic colony formation in vitro"Journal of General Virology. (in press).
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[Publications] Fujiwara N 他7名: "Monitoring of human herpesvirus-6 and -7 genomes in saliva samples of healthy adults by competitive quantitative PCR"Journal of Medical Virology. (in press).