1999 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系のトロンボポイエチン受容体(c-mpl)遺伝子発現及び遺伝子変異の解析
Project/Area Number |
11770410
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井原 健二 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80294932)
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Keywords | トロンボポイエチン受容体 / C-mpl / 先天性無巨核球性血小板減少症 / 遺伝子異常 / 遺伝子発現 / 脳形成 |
Research Abstract |
先天性血小板減少症患者のトロンボポイエチン受容体遺伝子(c-mpl)の解析 日本より5例、米国より1例の先天性無巨核球性血小板減少症患者のc-mpl遺伝子を解析した。その結果、日本人患者1例において、病因と考えられる遺伝子変異(Q186X、1499delT)を同定した。このことは、トロンボポイエチン受容体遺伝子のknockout mouseと同様の表現型を示すヒトの常染色体劣性の遺伝形式をとる遺伝病を、先天性無巨核球性血小板減少症患者において世界で初めて証明した点で意義がある。なお、このc-mpl遺伝子異常が見つかった先天性無巨核球性血小板減少症患者には、特異的な神経合併症(Dandy-Walker症候群)を認めた。これはトロンボポイエチン受容体が造血系細胞のみならず神経系細胞の発生分化に関与している可能性を示唆すると考え、以下の解析を行った。 ヒトの各種臓器におけるc-mpl遺伝子発現の定量解析 市販されているヒトの成人組織16種類、胎児組織8種類由来のcDNA、および胎内死亡した存胎週数20週から40週の胎児の脳組織(大脳・小脳・脳幹部・脊髄)よりcDNA合成した。そしてこれら各々のcDNAの中に存在するc-mpl mRNA量をreal-time TaqMan PCR法にて定量した。その結果、胎児の神経組織を含め、造血系の臓器以外ではc-mpl遺伝子の発現はほとんど見られなかった。
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