1999 Fiscal Year Annual Research Report
胎児心不全、仮死状態への血液再分布現象およびその際の一酸化窒素の役割
Project/Area Number |
11770420
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
菊池 豊 自治医科大学, 医学部, 講師 (90260835)
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Keywords | 胎児心不全 / 胎児仮死 / 再分布現象 / 一酸化窒素 / 羊胎児 / 超音波血流計 |
Research Abstract |
在胎120日(満期145日)の妊娠羊5頭に対して、母体にマーカインによる硬膜外麻酔、必要に応じてケタラールによる鎮静を施行。開腹して、子宮を露出し切開して胎仔を露出。第2肋間にて側開胸を行い、上行大動脈、主肺動脈、右内頚動脈を十分に剥離し、また、腹部を切開して腎動脈を露出。それぞれに超音波血流計を縫着。胎児の右心耳に心房用針電極を縫着。右心房を300/minの頻度でペーシングする事によって、胎児心房粗動モデルを作成。内頚動脈からNomega-nitro-L-arginine(NNLA)を注入する前後で血流測定を行った。 結果(ml/min/kg):ベーシング前、ベーシング後、NNLA注入後、上行大動脈:52±12、43±25、45±26。主肺動脈:48±34、41±36,38±36。内頚動脈:26±36、25±21、19±26。腎動脈:12±9、9.0±6.8、8.9±6.4。 以上から心拍出量は心房粗動による心不全の状態では低下したいたが、脳血流は有意な変化を来さなかった。また、腎血流はNNLA投与には殆ど関与しなかった。従って、一酸化窒素は心不全の際に重要臓器特に脳血流を維持するため血流の再分布現象を担った胎児での血管拡張物質でその働きには臓器特異性があることがわかった。 今後の検討課題は、急性実験では今回の結果を得たが実験24時間後、48時間後、72時間後に一酸化窒素がどのような産生状態にあるか、つまり、慢性心不全にどの様に関わっているか検討を続ける予定である。
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