1999 Fiscal Year Annual Research Report
幼若期けいれん重積症による海馬障害に関する研究<アポトーシス関連因子発現とその予防について>
Project/Area Number |
11770431
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
勝盛 宏 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90224477)
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Keywords | てんかん重積症 / 免疫抑制剤 / 幼若脳 / 壊死 / HSP72 / C-Jun / FK506 |
Research Abstract |
目的 幼若期におけるてんかん重積症に対して、免疫制御剤FK506投与が脳神経保護作用を示すかどうか、リチウム・ピロカルピンモデルを用いて検討した。けいれん発作強度観察、体温変化、生存率、脳組織所見(HE染色)、免疫組織化学染色によるHSP72・C-Jun(組織障害関連蛋白)発現を検討した。 方法 日齢21のWistar系ラットに対して、リチウム・ピロカルピンを腹腔内投与、けいれん重積症を引き起こし、FK506は、ピロカルピン投与1時間後に投与した。FK506投与群は、0.3,1,3および10mg/kgの投量により4群に分類し、FK無投与群をコントロールとした。ピロカルピン投与の24時間後にペントバルビタール全身麻酔下でホルマリン脳灌流固定を行った。 結果 1) 発作強度・体温:コントロール群とFK群の差は認められなかった。2) 生存率:FK506投与による改善は認められなかった。3) HE染色:コントロール群では、海馬ではCAI優位にCA3、歯状回外側領域に、皮質では帯状回中心に壊死細胞が多く認められた。FK群では、用量依存性にこれらの壊死細胞の減少が認められた。4) HSP72:コントロール群と比して、FK群(10mg/kg)では海馬CAI、CA3領域、皮質(帯状回、梨状葉)、扁桃体、視床において発現減少が認められ、逆に歯状回外側領域ではコントロール群と比べFK群(3,10mg/kg)では発現増加が認められた。皮質および海馬神経細胞(ニューロン)以外の細胞(恐らくグリア細胞)がコントロール群と比べ用量依存性にHSP72の発現が減少した。5)C-Jun:コントロール群と比べFK群(10mg/kg)では海馬CA3、歯状回領域および皮質(梨状葉)において発現が増加した。皮質および海馬神経細胞以外の細胞(恐らくグリア細胞)がコントロール群と比べ用量依存性にC-Junの発現が減少した。 結論:幼若モデルにおけるてんかん重積症に対して、FK506の早期投与は脳神経細胞傷害ストレスを減じ、神経保護的に作用することが示唆される。
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