1999 Fiscal Year Annual Research Report
毛孔性魚鱗癬と角膜変性を伴う先天性遺伝性脱毛症家系の病理遺伝子解析
Project/Area Number |
11770437
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松村 和子 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (10311515)
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Keywords | 遺伝性毛孔性魚鱗癬 / 羞明 / デスモゾーム / 皮膚超微形態 |
Research Abstract |
研究課題の対象疾患である、角膜変性を伴う先天性遺伝性毛孔性脱毛症では、遺伝形式が明らかにされていなかった。しかし、今回の家系の検索によって、常染色体優性遺伝の疾患である可能性が強く示唆された。 臨床的に健常と思われる部位と角化性の変化をおこしている病変部位との超微形態学的構造を詳細に観察した。その結果、病因に大きく関連することが予想されたデスモゾームの形態は、健常部と思われる部位では、大きな変化はなかった。しかしながら、角化性の病変においては、著しい海綿状変性が認められ、超微形態学的に破壊されたデスモゾームが数多く認められた。また、超微形態学的に正常に近い構築をもつデスモゾームも散見された。この所見から、通常は正常に近い形態をとるが、軽微な炎症性病変で容易に正常構造が破壊されるような脆弱なデスモゾームを形成してしまう疾患であることが予想された。しかし、デスモゾーム関連蛋白である、デスモグレインや、プラコグロビンなど古典的表皮角化細胞間結合物質の分布は健常人と変わらなかった。 この研究で得られた、臨床病変と超微形態学的所見は、Sato-Matsumura KC,Matsumura T,et al.Ichthyosis follicularis with alopecia and photophobia in a mother and her daughter.Br J Dermatol 2000 ; 142:157-62に新しい知見として報告された。 今後、まだ、試みていない最近なって新しく見つけられたデスモソーム構成蛋白であるプラコフィリンや、デスモゾームのトノフィラメント構成成分である各種ケラチンについて、共焦点レーザー顕微鏡で発現を検討した後、順次、関連蛋白の遺伝子変異を検索する計画である。
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