2000 Fiscal Year Annual Research Report
レクリングハウゼン病の神経線維種の発生機序に関する腫瘍細胞内情報伝達機構の解析
Project/Area Number |
11770443
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
遠藤 秀治 千葉大学, 医学部, 助手 (50282489)
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Keywords | レクリングハウゼン病 / 神経線維種 / p38 / MMP-1 |
Research Abstract |
レクリングハウゼン病の神経線維腫の発生機序に関する腫瘍細胞内情報伝達機構の解析としてするため、腫瘍の乾燥重量の半分を占めるこう原線維に着目し、Ras→Rac→Pak→?→MKK3→p38→MMP-1の一連の情報伝達経路を想定し、レクリングハウゼン病ではneurofibromin遺伝子の突然変異により、neurofibrominによるRasの不活化を介するMMP-1の発現増強がみられないのではないかという仮説を立てた。そこで昨年度はまずMMP-1 promoter活性を検討するため、MMP-1 promoterのluciferase reporter plasmidを作製し、また上記の一連の情報伝達経路を解析するためtagを付けたp38alfaとp38betaのexpression vectorを作製した。そこで今年度はまずPDGF刺激によるMMP-1 promoter活性に及ぼすp38alfaとp38betaの過剰発現による影響を検討した。その結果、p38alfaはほとんど影響を及ぼさないが、p38betaはMMP-1 promoter活性を抑制することが、NIH3T3細胞で示された。この結果が、PDGF刺激がp38beta情報伝達系を刺激しないことによるのではないことは、PDGF刺激によりp38betaがp38alfaと同様の細胞内局在性の変化を来すことが確認できたので否定された。一方、昨年作製したneurofibrominのGRDのexpression vectorを神経線維腫由来細胞に発現させたが、293T細胞とは異なり、ウェスタンブロットで発現が確認できなかった。以上の結果から、p38betaが活性化されると、MMP-1 promoterが抑制されることが示され、今後は実験系を変えてneurofibrominのGRDの過剰発現がp38betaの活性化に及ぼす影響を検討する必要があると考えた。
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