1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770462
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 稔彦 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (80263705)
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Keywords | 肥満細胞 / ケラチノサイト / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
マウスケラチノサイト細胞株KCMH-1のcDNAクローニングにより、Leukemia inhibitory factor(LIF),diazepam binding inhibitor(DBI),tenascin(TNS),D-dopachrome tautomerase(DCT)および未知のcDNA(KCM17)がクロニングされた。これらの市販のリコンビナント蛋白を作成または購入し、あるいは精製標品を入手し、肥満細胞と繊維芽細胞の共生培養系に添加したところ、DBI,TNS,DCT,KCM17にはいずれも肥満細胞増殖活性は認められなかった。市販のリコンビナイトLIFを同様の共生培養系に添加したところ、容量依存性に肥満細胞増殖活性が認められた。また、得られたLIFのcDNAを動物細胞発現用ベクターに組み換え、COS細胞に導入したところ、その培養上精中に同様の共生培養系での肥満細胞増殖活性が認められた。また、市販の抗LIF抗体により、KCMH-1培養上精中の肥満細胞増殖活性は完全に抑制され、またさらに、KCMH-1培養上精中の肥満細胞増殖活性に対する抗体により、リコンビナイトLIFの活性は抑制された。これらより、KCMH-1培養上精中の肥満細胞増殖活性は、その大部分がLIFによるものであることが考えられた。 今回の研究により、表皮ケラチノサイトが産生するLIFが真皮内に存在する肥満細胞の増殖を、繊維芽細胞を介して誘導することが考えられた。種々の炎症性皮膚疾患で肥満細胞の増殖が見られる病変部に於いてはLIFがどの程度関与しているか、また、どのような病態においてケラチノサイトからどの程度LIFが産生されているのかが今後の研究課題と思われる。
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