1999 Fiscal Year Annual Research Report
創傷治癒におけるサイトカインネットワークによる接着分子の制御機構について
Project/Area Number |
11770472
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
江副 京理 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20274938)
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Keywords | 接着分子 / サイトカインネットワーク / サイトカイン / イムノグロブリンファミリー |
Research Abstract |
<実験材料と方法> 1) ヒト皮膚線維芽細胞の培養系の確立。 ヒト正常皮膚、ケロイド、肥厚性瘢痕からexplant culture法により培養線維芽細胞を確立した。細胞は4継代まで培養し、凍結保存した。ケロイド、肥厚性瘢痕については、組織の部位別(上部、下部、辺縁)に分けて培養した。 2) 培養線維芽細胞の接着分子の発現の解析。 上記培養線維芽細胞においてVLAfamiliy、Immunoglobulin superfamiliy (ICAM-1)の発現と、この発現がサイトカインによってどの様に変化するかをフローサイトメトリーにて検討した。 <結果> 上記各種線維芽細胞はVLAfamiliyのうち、VLA1、2、3、4、5を発現していた。VLA6の発現は認められなかった。ヒト正常皮膚、ケロイド、肥厚性瘢痕由来線維芽細胞の間で、VLA2の発現について検討したところ、ケロイド≧肥厚性瘢痕>正常皮膚の順に発現量に差が認められた。VLA2はコラーゲンに対するレセプターであることより、ケロイド、肥厚性瘢痕の発生にVLA2が関与していることが示唆された。ICAM-1に関しては、正常皮膚由来線維芽細胞を用いて検討したが、従来の報告通り、非刺激下ではICAM-1は発現していなかった。しかし、炎症性サイトカイン(IL-1、IFN-γ、TNF-α)の刺激によりICAM-1の発現の増大が見られた。また、これらのサイトカインの間には相乗作用が見られた(IL-1とIFN-γの組み合わせ、IFN-γとTNF-αの組み合わせにおいて)。さらに、ICAM-1の発現に影響のないIFN-αとIFN-βを炎症性サイトカインで増幅されたICAM-1の系に加えたところ、IFN-αとIFN-βは、炎症性サイトカインによって増幅されたICAM-1の発現をさらに増幅した。
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