Research Abstract |
末梢悪性神経鞘腫症(以下MPNSTと略す)の遺伝子変異に関する研究として,神経線維腫症1(以下NF1と略す)合併患者と,NF1の合併のない患者の両者で,第17番染色体上のNF1の遺伝子領域内の変異解析の比較検討を計画した.過去にわれわれはNF1非合併例5例,NF1合併例1例において変異解析を施行し,NF1非合併5例中1例にエクソン4bで変異を認めた.今回は新たにNF1合併患者2例に対して行っている.遺伝子の変異解析はNF1領域の全エクソン(エクソン1〜エクソン49,合計60エクソン)に対して施行した.対象患者は2例とも過去に悪性末梢神経鞘腫を合併し,外科的に切除術を施行後である.患者の末梢血からDNAを抽出し検体とした.全エクソンに対してイントロンベースのUp,Rpプライマーを作成し,各々のエクソンに対し抽出したDNAをテンプレートとし,PCR法で増幅後,SSCP法による電気泳動を行って,ゲル上にバリアント認めた場合はDNAのシークエンスをし,変異の確認をする.また今回は,患者が既に腫瘍を切断済みであったため腫瘍部の検索は施行していないが,今後は末梢血,腫瘍部,正常組織部,神経線維腫部の各々からもDNAを抽出して変異の有無を比較検討する予定である. <結果>現在までエクソン3,4,5,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49.1,49.2,49.3に関して検索済みであるが,特にここまででは変異は検出されていない.
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